渉外婚姻と氏

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外国人と婚姻した日本人の氏はどうなるのでしょうか?

婚姻前の氏を称する場合(原則)

 実務上、婚姻後の氏は、それぞれの当事者の本国法によって決まるものとされていますので、日本人は、婚姻の際の定めに従い、夫又は妻の氏を称することになります。

 民法750条は、日本人と外国人の婚姻が想定されていませんので、日本人は外国人と婚姻してもそのまま引続き婚姻前の氏を称するものと解されています。(戸籍法107条②)

 

外国人配偶者の氏に変更する場合

①家庭裁判所の許可を要しない場合

 戸籍法107条②によると、その者は、その婚姻の日から6ヶ月以内に限り、家庭裁判所の許 

 可を得ないで、その旨を届け出ることができます。

②家庭裁判所の許可を要する場合

 自分、配偶者の氏を繋いだ氏にしたい場合や、婚姻の日から6ヶ月を過ぎ得て配偶者の氏に

 変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。 

③外国人男性と婚姻した日本人女性が、自分の氏を外国人男性の氏に変更した場合

 その女性に前婚の子どもがおり、その子が女性の戸籍に在籍していた場合は、氏の変更

 が、家庭裁判所の許可を要する戸籍法107条第1項に基づくものか、家庭裁判所の許可を要

 しない戸籍法107条第2項に基づくものかで、取扱が異なります。

 即ち、戸籍法第107条第1項に基づく氏の変更の効力は、同一戸籍内の全ての者に当然に及 

 ぶものと解されています。 他方、戸籍法第107条第2項に基づく氏の変更は、届出人のみ

 について生ずるものとされており、届出人の戸籍に同席する子がある場合には、届出人に

 ついて新戸籍が編成され、同籍する子は従前の戸籍に留まる取り扱いがなされます。 

 従って、子も母の変更した氏を称し、同一の戸籍となることを希望する場合、子は母と同

 籍する旨の入籍の届出が必要になります。

 

日本人と婚姻した外国人の氏はどうなるのでしょうか?

 婚姻後の氏は、それぞれの当事者の本国法によって決まるものとされていますので、外国人の配偶者の氏は、当該外国人の本国法によって定められることになります。 当該外国人の本国法に従い、外国人配偶者の氏を配偶者である日本人の氏に変更する場合、これを日本において日本人の戸籍に反映させるためには、下記の手続をとることになります。 日本人と外国人が婚姻する場合、外国人の氏名などの情報が日本人の戸籍の身分事項に記載されますが、ここで記載される外国人配偶者の情報は、全て婚姻時のものです。 婚姻により、当該外国人の本国法に従い、その氏を日本人の氏に変更した場合は、日本人である当事者が、配偶者の氏の変更届をして、配偶者の氏が変更したことを記載して貰います。 その際には、外国人配偶者の本国の公的機関が発行した、氏に変更したことの証明書とその訳文が必要となります。