フィリピン・リーガルセパレーション

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」フィリピンのリーガルセパレーションについて解説いたします。 何度も記載してきましたが、フィリピンには、日本のような離婚制度がありません。 通常は、アナルメント(婚姻解消裁判)、Nullity declaration of marriage(婚姻無効裁判)又は、リコグニッション(離婚承認裁判)のいずれかの手続きを経る手続きを取らなければなりません。

 

リーガルセパレーション

Legal separationとは、法的別居、夫と妻との夫婦関係を完全に断ち切るという意味では離婚とは法的な取り扱いが違います。 従って、リーガルセパレーションが許可されても、再婚は出来ません。 しかし、事実婚はありだと考えます。 

 

リーガルセパレーションは、フィリピン家族法第55条~64条に記載されています。

Article 55:A petition for legal separation may be filed on any of the following grounds:

第55条:リーガルセパレーションの申立ては、次のいずれかの事由により、提出することができます。
 (1) Repeated physical violence or grossly abusive conduct directed against the

     petitioner, a common child, or a child of the petitioner;            (1)申立人、夫婦間の子供、または申立人の子に対して、虐待行為を繰り返す。
(2) Physical violence or moral pressure to compel the petitioner to change religious

     or political affiliation;

(2) 肉体的暴力や、宗教・支持政党の変更を強要する。
(3) Attempt of respondent to corrupt or induce the petitioner, a common child, or a

     child of the petitioner, to engage in prostitution, or connivance in such corruption 

     or inducement;                                                                                               (3)申立人、夫婦間の子供、または申立人の子を売春に従事させたり、又はその行為の企てを

 する。
(4) Final judgment sentencing the respondent to imprisonment of more than six

      years, even if pardoned;                                                                 

(4) 終審で、、6年以上(執行猶予含う)の懲役を言い渡されたこと。
(5) Drug addiction or habitual alcoholism of the respondent;

(5) 覚醒剤やアルコール中毒者
(6) Lesbianism or homosexuality of the respondent

(6) レズビアンや同性愛者

(7) Contracting by the respondent of a subsequent bigamous marriage, whether in

      the Philippines or abroad;

(7) フィリピンのみならず、海外においての重婚者
(8) Sexual infidelity or perversion;

(8) 不倫
(9) Attempt by the respondent against the life of the petitioner; or

(9) 申立人の生活に反する企て、または
(10) Abandonment of petitioner by respondent without justifiable cause for more

     than one year.

(10)正当な理由のない1年以上の放棄。


  For purposes of this Article, the term "child" shall include a child by nature or by

     adoption.

 この条の用語「子供」は、実子、養子を含みます。

Art. 61. After the filing of the petition for legal separation, the spouses shall be entitled to live separately from each other.
The court, in the absence of a written agreement between the spouses, shall designate either of them or a third person to administer the absolute community or conjugal partnership property. The administrator appointed by the court shall have the same powers and duties as those of a guardian under the Rules of Court.
第61条:
リーガルセパレーション申立後、配偶者は互いに別々に生活する権利を有します。
 
裁判所は、配偶者間の書面による合意がない状態で、純然たるコミュニティや婚姻協力の財産を管理するために夫か妻のどちらか、または第三者を指名しなければなりません。 裁判所が選任した管理者は、裁判所の規則の下で保護者と同様の権限と義務を有するものとします。


Article 63.
The decree of legal separation shall have the following effects:
第63条

リーガルセパレーション法令は次のような効果を持ちます。
(1) The spouses shall be entitled to live separately from each other, but the marriage bonds shall not be severed;

(1)配偶者は別居して生活できるが、夫婦関係は断絶しません。

 

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コメント: 7
  • #1

    本多保彦 (火曜日, 23 7月 2019 12:33)

    教えてください。リーガルセパレーションを行えば彼女と日本で暮らせますか?彼女はフィリピンに在住です。婚姻歴があり正式に離婚はしてません。どうにか彼女と一緒に日本で暮らしたいのです。宜しくお願い致します

  • #2

    青柳行政書士 (火曜日, 23 7月 2019 12:57)

    本多さん、
    残念ですが、リーガルセパレーションしても、日本で彼女と婚姻できません。
    彼女の前婚はフィリピン人男性なので、彼女はアナルメントを終了しないと再婚はできません。  前婚者が日本人の場合は、アナルメント無でも婚姻可能ですが。 彼女が日本に在留できるのは、就労ビザ、留学ビザなどを取得出来る場合のみです。

  • #3

    hitomi (火曜日, 20 7月 2021 23:53)

    どうか相談させてください。
    3年半前に、日本の職場で出会ったフィリピン人男性がいて就労ビザが切れてフィリピンに帰られました。少し親しくしていたので、日本でまた働くために、配偶者ビザで日本に戻りたいと、私がフィリピンを訪れた際に婚姻手続きをしようと早急に段取りをされました。わたしはあまりの急な話で驚き、うちの親が心配して反対しているので、会って挨拶をしてもらってからと言ったのですが、親戚に報告して婚約手続きを段取ったからと言われ、仕方なく親に無理を言って現地で手続きをしました。
    わたしは少し不安だったので、日本に来て親に挨拶をしてくれるまでは日本での手続きはしないようにしていました。
    そのあと、配偶者ビザの手続きがどうなったかを聞いたら、収入と税金でひっかかりビザが貰えないというような事を言われました。
    その間も観光ビザを使って日本に来てうちの親に挨拶をしに来てくれることは出来たと思うのですが、お金がないようで日本に来ることができないようでした。
    私は愕然として次第に連絡を取るのも嫌になり、そのまま3年半が経ってしまいました。このままはっきりさせないと、私も次の人生を送ることが出来ないと決心し、法的手続きを進めたいです。
    もし、日本の方と結婚したい場合、アナルメントが必要でしょうか。
    リーガルセパレーションでも可能なのでしょうか。
    お金がかかってもなんとかしたいと思っています。どうかアドバイス、よろしくお願い致します。

  • #4

    行政書士 青柳保廣 (水曜日, 21 7月 2021 08:37)

    hitomiさん、下記の通り回答します。

    1.あなたの戸籍謄本を取得して、あなたの婚姻記録が記載されていない場合は、フィリ
      ピン人男性のことは無視して、日本人男性と婚姻することが可能です。
    2.戸籍謄本にフィリピン人男性との婚姻が記載されている場合は、まず、フィリピン人
      男性との日本国の婚姻関係を解消するため、離婚届けを市役所に提出してください。
      そうすれば、アナルメント等フィリピンでの全ての手続きを無視して、日本人男性と
      婚姻することが可能となります。 この場合、婚姻要件具備証明書不添付理由書など
      がいります。
    3.あなたは、フィリピンで婚姻したとのことですが、日本大使館で婚姻要件具備証明書
      を取得して、彼の住んでいる市役所に婚姻届けを提出したということですか?
      その後、フィリピン式の婚姻式を協会やそれに準じる場所で司教の元でしましたか?
      そうでない場合は、フィリピン人男性との婚姻は全くありません。 フィリピン人男
      性の名前、生年月日、出生地、両親の名前、生年月日が解れば、彼のCENOMAEまた 
      はAdvisory on marriage No.5をPSAから取得すると、彼の婚姻記録が記載されてい
      ますので、それで確認できます。
      彼のビザですが、収入要件で不許可でなったとのことですが、申請時に提出書類とし
      て、あなたの身元保証書、あなたとの婚姻記録記載の戸籍謄本、フィリピンの婚姻証
      明書、あなたの課税証明書、納税証明書、質問書などを日本の入国管理局にあなたが
      提出しましたか?  そうでないと、彼が言ってことは、全て虚偽です。

    今後のお問合せは、直接e-mailで aoyagi_office@yahoo.co.jp又は電話090-5513-3300にしてください。

  • #5

    hitomi (水曜日, 21 7月 2021 21:47)

    青柳さま!
    ありがとうございます!!
    今まで誰にも話せなかったので、感謝しかありません、、
    メール送らせて頂きたく、、
    よろしくお願い致します。

  • #6

    (火曜日, 13 6月 2023 07:52)

    同じような案件がなくネットで調べきれていませんが質問させてください。日本とフィリピンで婚姻、数年前にフィリピン人嫁(当時日本にて就業)から離婚を要求され日本で離婚、時間とお金がかかることから双方合意でアナルメントはせず。現在フィリピンに住んでいますがフィリピン人との間に子供が産まれます。今回招待でのVISA申請が降りず日本へ連れて行くことができずフィリピンでの出産になりそうです。認知しかないと考えますがかなりハードルが高いかと思っております。相手のフィリピン人からの要求の離婚のためリーガルセパレーションをしてフィリピン側での再婚は無理でしょうか?先方は婚姻歴無しです。

  • #7

    行政書士 (火曜日, 13 6月 2023 09:06)

    進さん、

    下記の通り回答します。
    1.フィリピンの出生届の父親欄にあなたの名前を記載することで、フィリピンサイドでは認知したことになりますが、日本では、認知届を提出しないと認知したことにはなりません。
    2.今回の出産前に、在フィリピン日本領事館に子供の胎児認知届ができるか確認して、
    胎児認知が可能であれば出生前に胎児認知してください。 
    3.現在婚姻中の妻とリーガルセパレーションして、フィリピンにおいて他のフィリピン人女性との婚姻は重婚になりますので、不可能です。 離婚してリコグニッション(離婚承認裁判)手続きを経ないとフィリピンにおいて他のフィリピン女性との婚姻は不可です。 
    3。しかし、あなたが、日本領事館又は日本の市役所に離婚届を提出して、日本で他のフィリピン人女性との再婚は可能です。