老人や認知症の人が身体拘束される問題

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所が老人や認知症の人が病院や施設で身体拘束されている問題につき、解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。


 小職は、区長申立により、ある認知症老人の成年後見人になっております。 現在、病院に入院中ですが、病院から「もう治療することがないなど」の理由から特別介護老人施設への転院を勧められております。 先日、ある特別養護老人施設から、空きが出るので、被後見人に面会したい旨、申出があり、小職同席のうえ、病院と3者面談致しました。

 被後見人は、食事をとると、誤嚥性肺炎になる可能性大との理由で、現在は胃瘻の処置を受けております。 病院側は、胃瘻のチューブを外さないように、身体拘束をすることがあると説明しておりました。 一方、特別養護老人施設は、被後見人の身体をチェックし、筋力が低下しており、身体拘束の痕があると指摘しました。 結局は、特別養護老人施設には、入所できなく、継続して病院にお世話になることとなりました。


 身体拘束とは 、施設や病院などで、認知症などの高齢者を、ひもや抑制帯、ミトンなどの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることをいいます。 部屋に閉じ込めて出られないようにする、あるいは、向精神薬を飲ませて動けなくすることも身体拘束となります。  身体拘束をされると利用者が非常に惨めな、人間としての誇り・尊厳を奪われた状態になることになります。 厚生労働省は、介護保険の適用を受ける施設では、必要やむをえない場合でない限りこのような身体拘束をすることを禁止しています。 しかし、病院や施設によっては、まだ、その規定に従わず慣習的に身体拘束を行っているところが多くあります。

 身体拘束をされると、肉体的に何時間も、あるいは何日も同じ姿勢をずっととらされたり、狭い空間の中に閉じ込められたりしますから、その苦痛は大変大きなものになります。また、身体拘束をされる多くの方は認知症の方ですから、どうして縛られるのかご自身では理解できません。 それでいきなり縛られたり閉じ込められたりするのでとても不安になり怖い思いをします。 身体拘束には、さらに重大な害が潜んでいます。 たとえば、縛られたおとしよりは、例え少しの期間であっても、食欲が低下したり、脱水を起こしたり、褥創ができやすくなります。 ふしぶしの関節が固くなり、筋力が低下して起きられなくなり、そのまま寝たきりになることもよくあります。 活動範囲が極端に狭くなると心臓や肺の機能も低下しますし、感染症に対する抵抗力も落ちてきます。 すると、かぜから肺炎となったり、あるいは、褥創や尿道から感染が発生したりと、感染を繰りかえす状態に陥り、衰弱が進みます。 それが原因で亡くなることもあります。 また、精神的には、認知症が進行して荒廃状態になったり、最初は身体拘束に抵抗していたおとしよりもやがて諦め、生きる意欲を失っていきます。

 残念ながら、小職は両親とも黄泉の国に行ってしまっておりますが、老人の身体拘束を現実に知ってしまうと、とっても、そのよな施設には入所させらないと強く感じました。