「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が改正動物愛護法につき、解説いたします。 ご質問やご意見は、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。
日本では毎年何十万頭もの犬や猫が、行政施設で殺処分されています。 環境省の調べによると、毎年、全国の自治体で殺処分されたペットの数は、犬が8万頭、猫が20万頭、計28万頭に上ります。
平成24年9月5日に、議員立法による改正動物愛護管理法が公布され、平成25年9月1日より施行されました。
1.動物取扱業者の適正化
(1)犬猫等販売業に係る特例の創設
現行動物取扱業を第一種動物取扱業とし、第一種動物取扱業者のうち、犬猫等販売業者
(犬又は猫その他環境省令で定める動物の販売(販売のための繁殖を含む。)を業として
行う者)について、以下の事項を義務付ける。
[1] 幼齢個体の安全管理、販売が困難となった犬猫等の扱いに関する犬猫等健康安全計画
の策定及びその遵守(第10条第3項、第22条の2関係)
[2] 飼養又は保管する犬猫等の適正飼養のための獣医師等との連携の確保(第22条の3関
係)
[3] 販売が困難となった犬猫等の終生飼養の確保(第22条の4関係)
[4] 犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売
業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22条の5関係)
なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7条関係)。
[5] 犬・猫等の所有状況の記録・報告(第22条の6関係)
(2)動物取扱業者に係る規制強化
[1] 感染性の疾病の予防措置や、販売が困難になった場合の譲渡しについて努力義務とし
て明記(第21条の2・第21条の3関係)
[2] 犬猫等を販売する際の現物確認・対面説明の義務付け(第21条の4関係)
(3)狂犬病予防法、種の保存法等違反を、第一種動物取扱業に係る登録拒否及び登録取消
事由に追加する。(第12条第1項関係)
(4)第二種動物取扱業の創設(第24条の2~第24条の4関係)
飼養施設を設置して動物の譲渡等を業として行う者(省令で定める数以上の動物を飼
養する場合に限る。以下「第二種動物取扱業者」という。)に対し、飼養施設を設置
する場所ごとに、取り扱う動物の種類及び数、飼養施設の構造及び規模、管理方法等
について、都道府県知事等への届出を義務付ける。
2.多頭飼育の適正化
(1)騒音又は悪臭の発生等、勧告・命令の対象となる生活環境上の支障の内容を明確化す
る(第25条第1項関係)。
(2)多頭飼育に起因する虐待のおそれのある事態を、勧告・命令の対象に追加する(第25
条第3項関係)。
(3)多頭飼育者に対する届出制度について、条例に基づき講じることができる施策として
明記する(第9条関係)。
3.犬及び猫の引き取り(第35条関係)
(1)都道府県等が、犬又は猫の引取りをその所有者から求められた場合に、その引取りを
拒否できる事由(動物取扱業者からの引取りを求められた場合等)を明記する。
(2)引き取った犬又は猫の返還及び譲渡に関する努力義務規定を設ける。
4.災害対応
(1)災害時における動物の適正な飼養及び保管に関する施策を、動物愛護管理推進計画に
定める事項に追加する(第6条関係)。
(2)動物愛護推進員の活動として、災害時における動物の避難、保護等に対する協力を追
加する(第38条関係)。
5.その他
(1)法目的に、遺棄の防止、動物の健康及び安全の保持、動物との共生等を加える(第1条
関係)。
(2)基本原則に、取り扱う動物に対する適正な給餌給水、飼養環境の確保を加える(第2条
関係)。
(3)所有者の責務に、終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務を加える(第7条関係)。
(4)特定動物の飼養保管許可に当たっての申請事項に、「特定動物の飼養が困難になった
場合の対処方法」を加える(第26条関係)。
(5)動物愛護担当職員及び動物愛護推進員制度に関する国による必要な情報の提供等を定
めるとともに、動物愛護に係る表彰制度を設ける(第41条の3・第41条の4関係)。
(6)動物虐待等を発見した場合の獣医師による通報の努力義務規定を設ける(第41条の2
関係)。
(7)マイクロチップの装着等の推進及びその装着を義務付けることに向けての検討に関す
る規定を設ける(附則第14条関係)。
6.罰則等
(1)酷使、疾病の放置等の虐待の具体的事例を明記する(第44条関係)。
(2)愛護動物の殺傷、虐待、無登録動物取扱、無許可特定動物飼養等について罰則を強化
する(第44条~第49条関係)。
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