保護観察

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 保護観察は、犯罪をした人又は非行のある少年が、実社会の中でその健全な一員として更生するように、国の責任において指導監督及び補導援護を行うもので、保護観察処分少年、少年院仮退院者、仮釈放者、保護観察付執行猶予者及び婦人補導院仮退

 院者の計5種の人がその対象となります。

 保護観察は、少年を社会の中で生活させながら、自宅から学校や仕事に通い、保護観察所の指導を受け、定期的に保護司という人と面会して生活状況を報告し、親の監督のもとで社会生活を送り、立ち直りを図っていくという制度です。保護観察になったからといって、絶対に少年院に行かなくてすむというわけではなく、保護観察中の行状が悪ければ、少年院に送致されてしまう場合もあります。
 保護観察の期間は、原則として少年が20歳になるまでですが、保護観察が決定されてから20歳になるまでの期間が2年以下の場合は、2年になります。 もっとも、保護観察を継続する必要がなくなったと認められた場合には、保護観察が解除されることもあります。 保護観察には一般保護観察一般短期保護観察交通保護観察交通短期保護観察という種類があります。
 一般保護観察の場合、おおむね1年が経過し、3か月以上成績良好であれば、保護観察の解除が検討されます。一般短期保護観察おおむね6か月を経過した時期に解除が検討されますが、10か月以内に解除できないような場合(行状が悪い場合)は、一般保護観察に切り替えられることがあります。 交通事犯で保護観察になった場合は交通保護観察になりますが、おおむね6か月を経過した時期に解除が検討されます。交通短期保護観察は、おおむね3カ月を経過した時期に解除が検討されます。 6か月以内に解除できないような場合には、交通保護観察に切り替えられることがあります。 保護観察中は、何よりもまじめに生活することですが、保護観察官との間で順守事項が定められるので絶対にそれに違反しないこと、保護司や保護観察官との面談の約束は必ず守ることが重要です。

 

一般遵守事項と特別遵守事項

 刑法26条の2では執行猶予付き自由刑を受けた保護観察対象者が遵守事項を遵守せず、情状が重い時は執行猶予が取り消されることがあります。

 

一般遵守事項

更生保護法50条では一般遵守事項について次のように規定しています。

① 再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持す

  ること。

② 次に掲げる事項を守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受けるこ

  と。
 
.保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受

   けること。
  
.保護観察官又は保護司から、労働又は通学の状況、収入又は支出の状況、家庭環

       境、交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握す

       べきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告

       し、又はこれに関する資料を提示すること。

   ハ.保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観

   察所の長にその届出をすること。

 二.前号の届出に係る住居に居住すること。

 ホ.転居又は7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を

   受けること。

 

特別遵守事項

 更生保護法51条では次の特別遵守事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において具体的に定めるものと規定している。同法52条と53条では特別遵守事項の変更や取り消しが規定されている。

① 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度

  の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならな

  いこと。

② 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行

  のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、

  又は継続すること。

③ 7日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握

  しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、

  緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること。

④ 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を

  改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受け

  ること。

⑤ 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更

  生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一 

  定の期間宿泊して指導監督を受けること。

⑥ その他指導監督を行うため特に必要な事項。