無戸籍者

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」無戸籍者につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

  無戸籍者とは戸籍のない人のことです。  現在、戸籍制度が実質的に機能している国は日本のみと判断されます。 戸籍法第49条及び第52条(⇓条文参照)に、生まれた人間は必ず出生届を出して戸籍が作成されることになっていますが何かの事情によって親等が出生届の手続きをしなかった場合に無戸籍者になります。 

 一方、無戸籍者が保護された場合には、自治体の首長の判断で当該者の戸籍の作成ができることになっています。 従って、例え、捨て子であっても無戸籍者にはなりません。  

 

無戸籍無国籍は全くことなったものです。  例え、無戸籍であっても、出生時に日本国籍の取得条件を満たしている者は自動的に日本国籍を取得しますが、公職選挙法附則第2項及び地方自治法第20条によって、「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は当分の間停止されている」と規定されているために、無戸籍者は日本国籍を有していても参政権を行使できません。

 

毎年、日本では、「無国籍者」となる人が少なくとも500人以上いて、学校に一度も通ったことのない人や、無戸籍のまま30年以上生きてきた人もいると、NHKが先日伝えました。 無戸籍の人を支援する団体によれば、全国に少なくとも一万人の無戸籍者がいると推計しています。 その背景には、DVや離婚の増加があると考えられています。 夫の暴力から逃げだし、居場所を知られるのを恐れて、離婚もできずに時間が経過し、新たなパートナーとの間に子供が生まれた場合、民法772条(↓条文参照)は「夫の子」と推定されて、夫の戸籍に入ることになります。 そのため、母親が出生届けを提出せず、子供が無戸籍になってしまうことになります。 実の父親の戸籍には入れるには、家庭裁判所での手続きが必要で須賀、前夫が関与するのを恐れて、断念する人が殆どです。


戸籍法第49条

 出生の届出は、14日以内(国外で出生があつたときは、3箇月以内)にこれをしな

 ければならない。

2 届書には、次の事項を記載しなければならない。

  ①子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別

  ②出生の年月日時分及び場所

  ③父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍

  ④その他法務省令で定める事項

3 医師、助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には、医師、助産師、その他 

 の者の順序に従つてそのうちの1人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによ

 つて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし、やむを得ない

 事由があるときは、この限りでない。

戸籍法第52条

  嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合に

  は、母がこれをしなければならない。

2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。

 前2項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左

   の者は、その順序に従つて、届出をしなければならない。

   第1同居者

   第2出産に立ち会つた医師、助産師又はその他の者

 4 第1項又は第2項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場

   合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる。

 

民法772条(嫡出の推定)

 1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

 2.婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日か

       ら300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。