定期建物賃貸借

 

「横浜のアオャギ行政書士事務所」定期建物賃貸借につき解説いたします。

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 借地借家法は、貸主にとっても借主にとっても、重要な法律です。 定期借家

制度が平成12年3月1日 には施行され、ますます賃貸知識が必要となってきました。

 

定期借家権基本原則

①期限の約束をして貸した家は必ず返してもらえる

②完全自由契約、当事者の自己責任の原則

③契約期間の制約がない(1年以内でも20年以上でもよい。)

 

借地借家法第29条 (建物賃貸借の期間)

 期間を1年未満とする建物の賃貸借は期間の定めのない建物の賃貸借とみなす、

民法604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。

 

民法第604条

 賃貸借の存続期間は20年を越えることを得ず。 これより長き期間をもって賃貸借をなしたる時は、その期間はこれを20年に短縮する。

①賃料の増減額請求権は、定期借家権の場合、賃料の改定に係る特約が存在する場合 

 には適用しない。

②新法が施行される前の契約は従前通り既得権有り(併存する)

③期間満了の確認は6ケ月前の書面による通知が必要 

④住居入居者はやむ得えない事情(転勤など)が有る場合1ケ月前の通知にて退去で

 きる。

 
定期借家権・ 貸主のメリット、活用方法

立退きトラブルが発生しない

賃貸するのに烏塘していた物件を賃せる(一戸建てなど個人の持ち家や、別荘な 

 ど)

立退き中の一部空室賃貸部分などの収入確保 

高齢者のケアハウス・ 療養所など長期留守宅の一時活用

④期間未定の転勤世帯の一時賃貸

 

長期事業計画が組みやすい

①利回りの確定(賃料の増減率・ 固定化が可能)

②借げ会社とのトラブル減少(中途解約、一方的値下げ要求をされない)

 

賃貸住宅経営に安心して取組める

①経営上の目に見えないコストの減少(不良借家人問題の解消など)

②万一の場合、売却も容易になる(将来処分予定物件)

③次の世代へ問題の少ない資産が継承できる

④リフォームなどしやすくなる

 

定期建物賃貸借契約の締結

定期建物賃貸借は、内容的な要件としては期間を確定的に定めることがまず第一

に必要です。   この制度では、借地借家法第29 条に定める1年未満の建物賃貸借を

期間の定めのないものとみなす規定は適用されないこととされており、1年未満で

もよいこととなっています。

定期建物賃貸借は、改正後の借地借家法第38条に規定されていますが、形式上の要件

として、「公正証書による等書面によって契約する」ときに限って、定めることが

できるものとされています。(法第38条第1項)

   この場合、貸主は借主に対して、契約の更新はなく、期間の満了とともに契約が

終了することを、契約書とは別にあらかじめ書面を交付して説明しなければなりま

せん(法第38条第2項)。

   貸主がこの説明を怠ったときは、その契約は定期借家としての効力は否定され、

従来型の、契約の更新のある借家契約となります。

 

定期建物賃貸借契約の終了

 定期建物賃貸借契約においては、契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了

の1年前から6か月前までの間(「通知期間」といわれています。)に、借主に契

約が終了することを通知する必要があります。

 なお、期間満了前に、引き続きその建物を使用することについて当事者双方が合

意すれば、再契約したうえで、引き続きその建物を使用することは可能です。

 

契約の中途解約

 居住用建物の定期建物賃貸借契約では、契約期間中に、借主にやむを得ない事情

(転勤、療養、親族の介護など)が発生し、その住宅に住み続けることが困難とな

った場合には、借主から解約の申し入れができることとなっています(法第38条

第5項)。 この場合、解約の申し入れの日から1月経過すれば、契約が終了します。 

 なお、この解約権が行使できるのは、床面積が200平方メートル未満の住宅に

居住している借主に限られます。

 

借賃の改定の特約

 定期建物賃貸借契約では、賃料の改訂に関し特約をすれば、家賃増減請求権の適

用はないものとされています(法第38条第7項)。

 

定期借家契約と従来型借家契約の比較一覧表

 

 

定期借家契約

従来型の借家契約

契約方法

① 公正証書等の書面による契約に限る

② さらに、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない

書面でも口頭でも可

更新の有無

期間満了により終了し、更新はない

正当事由がない限り更新

建物の賃貸借期間の上限

無制限

200031日より前の契約

・・・20

200031日以降の契約

・・・無制限

期間を1年未満とする建物賃貸借の効力

1年未満の契約も可能

期間の定めのない賃貸借とみなされる

建物賃借料の増減に関する特約の効力

賃借料の増減は特約の定めに従う

特約にかかわらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる

中途解約の可否

   床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借家人からは、特約がなくても法律により、中途解約ができる

   ①以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う

中途解約に関する特約があれば、その定めに従う