消滅時効・取得時効

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」消滅時効・取得時効につき、解説いたします。

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消滅時効

 消滅時効とは、一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度で、取得時効とともに時効の一つです。 消滅時効により権利が消滅することを時効消滅といいます。

 

消滅時効の適用範囲

1.時効消滅する権利

  債権などの財産権(所有権や占有権などを除く)

2.時効消滅しない権利

  所有権、占有権など

 

消滅時効の要件

 消滅時効の対象となる権利は消滅時効の起算点から一定の時効期間が経過したときに消滅します。 具体的には①権利を行使し得る状態になったこと、②その時から一定の期間(時効期間)が経過したこと、③援用権者が相手方に対して時効援用の意思表示をしたことです。 

消滅時効援用の意思表示の方法

 方法に制限はありませんが、口頭での意思表示は、言った言わないでトラブルになる場合がありますので、一般的には、内容証明郵便で通知します。
    ⇒内容証明郵便書き方の詳細

    ⇒電子内容証明郵便の書き方詳細

消滅時効の起算点

 消滅時効は権利を行使することができる時を起算点として、この起算点から進行します(民法166条1項)。

起算点の具体例

① 確定期限付の債務 - 確定期限の到来時

② 不確定期限付の債務 - 不確定期限の到来時

③ 期限の定め無き債権 - 債権が成立したとき

④ 債務不履行による損害賠償請求権 - 本来の債権について履行請求できるとき

⑤ 契約解除による原状回復請求権 - 契約解除時

⑥ 返還時期の定めの無い消費貸借 - 債券成立後、相当期間経過後

⑦ 不法行為に基づく損害賠償請求権 - 被害者が損害及び加害者を知ったとき

 

割賦払債務の起算点

① 即時進行説

② 債権者意思説

時効期間

・債権の時効期間は10年間(民法167条1項)。

・債権以外の財産権の時効期間は20年間(民法167条2項)。

 

短期消滅時効

 権利関係の早期安定が必要とされる場合には法令で時効期間が短縮される場合がああります。

 民法や商法には、権利関係を迅速に確定するために、より短い期間で時効が成立する場合があります。これを総称して短期消滅時効といいますが、以下のような例がああります。

5年

・追認できる時からの取消権(民法126条)

・年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料(民法169条)

・財産管理に関する親子間の債権(民法832条)

・商事債権(商法522条)

・相続回復請求権 相続権を侵害された事実を知ったときから(民法884条)

・金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利(地方自治法236条)

・労働者の退職手当(労基法115条後段)

3年

・医師・助産師・薬剤師の医療・助産・調剤に関する債権(民法170条1号)

・技師・棟梁・請負人の工事に関する債権 工事終了のときから(民法170条第2号)

・弁護・弁護士法人・公証人の職務に関して受け取った書類についての義務に対する 

 権利(民法171条)

・不法行為に基づく損害賠償請求権 損害および加害者を知ったときから(民法724

  条、製造物責任法5条)

・為替手形の所持人から引受人に対する請求権(手形法70条第1項)

・約束手形の所持人から振出人に対する請求権(手形法第77条第1項第8号、なお、

 同法第78条第1項参照)

2年
弁護士・弁護士法人・公証人の職務に関する債権(民法172条)

・生産者・卸売または小売商人の売掛代金債権(民法173条1号)

・居職人・製造人の仕事に関する債権(民法173条第2号)

・学芸・技能の教育者の教育・衣食・寄宿に関する債権(民法173条3号)

・詐害行為取消権:債権者が取消しの原因を知った時から(民法426条)

・労働者の賃金(退職手当を除く)・災害補償その他の請求権(労働基準法115条前

 段)

1年(174条は、1年の短期消滅時効についての規定)

・月又はこれより短い期間で定めた使用人の給料(民法1741号)

・労力者(大工・左官等)・演芸人の賃金ならびにその供給した物の代価(民法174条

 第2号)

・運送費(民法174条第3号)

・ホテルや旅館の宿泊料・キャバレーや料理店などの飲食料(民法174条第4号)

・貸衣装など動産の損料(民法条5号)

・売主の担保責任:買主が事実を知った時から(民法566条)

・遺留分減殺請求:減殺すべき贈与、遺贈があったことを知った時から(民法1042

 条)

・運送取扱人の責任(商法第566条第1項)

・陸上運送人の責任(商法第589条・商法第566条第1項準用)

・海上運送人の責任(商法第766条・商法第566条第1項準用、国際海上物品運送法第 

 14条第1項)

・船舶所有者の傭船者、荷送人、荷受人に対する債権(商法第765条)

・為替手形の所持人から裏書人や振出人に対する請求権(手形法第70条)

・約束手形の所持人から裏書人に対する請求権(手形法第77条第1項第8号)

・支払保証をした支払人に対する小切手上の請求権(小切手法第58条)

6ヶ月

・約束手形・為替手形の裏書人から他の裏書人や振出人に対する遡求権または請求権 

 (手形法第70条第3項)

・小切手所持人・裏書人の、他の裏書人・振出人その他の債務者に対する遡求権(小

  切手法第51条)

 

税金の消滅時効

脱税は7年で、申告漏れは5年です。 

 

時効の中断

 時効の中断とは、それまでに継続していた時効期間の計算が文字どおり中断されることです。 その後、中断が終了した場合は、再度最初からリセットされて時効期間が計算されます(民法157条1項、2項)。 時効期間が10年よりも短い場合は、民法174条の2第1項による特例があります。

一方、「停止」の場合は、中断とは異なり、一時的に時効の完成を猶予するものであり、停止の事由が終了した場合は、それまでの時効期間から再度継続して時効期間が計算されます(民法158条1項以下参照)。

 

 

取得時効

 取得時効は、他人の物または財産権を一定期間継続して占有または準占有する者に、その権利を与える制度です。 消滅時効とともに時効制度の一つです。 例えば、AがBの土地に、Bの承諾なく、家を建てて20年以上住み続けた(占有)とします。 この場合、AはBに時効が完成したことを主張して、本来は他人 (B) のものであった土地の所有権を取得することができます。  取得時効により権利を取得することを時効取得といいます。

 

 所有権の時効取得については、民法162条に規定されており、長期の取得時効と短期の取得時効があります。 長期の取得時効(同条1項)は、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することによって所有権を時効により取得できるものです。 また、短期の取得時効(同条2項)は、10年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有した場合で、さらに占有を始めた時に善意・無過失であった場合に認められます。 所有権以外財産権を取得する場合については、民法163条によって規定されています。 すなわち、所有権以外の財産権を自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に20年または10年これを行使することで取得できます。 20年と10年という期間の違いは所有権の場合と同様、占有を始めたときにそれが他人の財産権であると知っていれば(悪意)20年で、そうとは知らず、知らないことについて過失がないならば(善意)10年です。

 

取得時効の機能

 取得時効が機能する場面は、以下の三つに分類されます。

  1. 不動産を入手した契約は有効だが登記がない(二重譲渡などの「有効未登記型」)
  2. 不動産の取得原因が無効、または存在しない(裁判で認定されなかった場合も含む。「原因無効・不存在型」)
  3. 土地境界線の紛争(「境界紛争型」)

上記1と2の場合は、取引の安全(短期取得時効)又は永続した事実状態の尊重(長期取得時効)という観点から取得時効が機能しており、3の場合は、真の権利者保護の機能(長期取得時効)という観点から取得時効が機能しているといいます。

 

取得時効の適用範囲

①時効取得できる権利

   所有権、地上権、永小作権、地役権、不動産賃借権など

②時効取得できない権利 

   占有権、留置権、先取特権、抵当権など

取得時効の要件

取得時効には以下の要件が必要となります。

①所有の意思をもった占有であること(自主占有)

②「所有の意思」とは、「所有者らしく振る舞うこと」であり、所有の意思をもって

 行う占有を自主占有といいます。これに対して賃借人などは家などの目的物を「自

 分の所有物」として占有しているわけではない。これを他主占有といいます。

③平穏・公然とした占有であること

④他人の物であること

⑤条文上「他人の物」となっているが、自分の物であることを立証するために取得時 

 効を主張をすることは許される。 また、162条について、改正前は「他人の不動

 産」となっていましたが、不動産である必要もないと解されていました。

⑥公共用財産の時効取得については後述参照。

⑦占有の態様に応じて要求される一定の期間にわたり占有が継続すること

⑧占有を始めたときに、それが他人の財産権であると知り、または知らないことにつ

 いて過失がある場合(悪意・有過失の場合)には20年、そうとは知らず、知らない

 ことについて過失がないならば(善意・無過失の場合)10年となる。ここにいう善

 意とは、積極的に自己に権利があると信じたことをいい、単なる不知では足りない

 とされている。また、無過失とは、そのように信じたことについて過失(不注意)

 がないことをいう。

⑨占有は一定期間にわたり継続しなければならない。占有者が任意にその占有を中止

 したり、他人によってその占有を奪われたときには時効は中断する(民法164

 条)。 これを自然中断という。

 これらの要件を満たした上で、時効を援用すれば、取得時効が成立する。

 

取得時効立証

 取得時効を主張する者は上記の要件を立証しなければなりませんが、、これは容易ではありません。 そこで法は要件が満たされていることを推定し(これは、無前提の推定、つまり、暫定真実です)、立証の負担を緩和する規定を置いています。 まず民法186条1項において、占有者は「所有の意思」に基づき、「善意」で、「平穏かつ公然」に占有していると推定される。

 したがって、取得時効の成立を阻もうとする者が反対事実を立証しない限り、これらの要件が満たされることになってしまいます。 つまり、他主占有(これは、最高裁判例によると、他主占有権原又は他主占有事情により判定されます)、悪意、強暴、隠秘について、原所有者側が主張・立証責任を負います。 さらに、占有が10年または20年の間継続していることを証明する場合にも、その期間の始めと終わりの時点で占有していたことを証明すればその間占有が継続していると推定される(これは、法律上の事実推定である)という形で立証の負担が緩和されています(民法186条2項)。

 よって、取得時効を主張する者は、20年間の取得時効の場合、その始めと終わりの時点において自分が占有していたことを、10年の取得時効の場合にはそれに加えて、自分に所有権があると信じたことについて不注意な点がなかった(無過失であった)ことを主張立証すればよい。 これに対して相手方が推定を覆すだけの事実を主張立証しない限り、取得時効が認められることになります。

 

公共用財産の時効取得

 公共用財産(道路や水路など)については、民法で規定する財産法の規律が及ばず、原則として時効取得の適用がないものとされています。

 しかし、判例によれば、公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなつた場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないとしています。

 

不動産登記(所有権の取得時効と登記に関する判例)

①取得時効完成時の所有者に対しては、時効取得した者は登記をせずとも所有権を主

 張できる。

②時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所

 有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わ

 ず、所有権の取得を対抗できない。。ただし、背信的悪意者は第三者に当たらな

 い。

③取得時効完成後に第三者が所有権を承継して登記をしても、新たに取得時効が完成

 した場合、時効取得した者は当該第三者には登記をせずとも対抗できる。

④取得時効完成前に第三者が所有権を承継した場合、時効取得した者は登記をせずと

 も対抗できる。

 

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    sex telefon (火曜日, 31 10月 2017 20:02)

    niezaśnieżany

  • #2

    tutaj (金曜日, 03 11月 2017 19:58)

    przedwakacyjny