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贈与税
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です、会社など法人から財産をもらったときは贈与税がかかりませんが、所得税が課税されます。 また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかることになっています。 ただし、死亡した人が本人を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。 贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。 この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
相続時精算課税の適用対象者
贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。
相続時精算課税の適用対象財産など
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
贈与税が課せられない場合
贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。
法人からの贈与により取得した財産
贈与税は個人から財産を贈与により取得した場合にかかる税金であり、法人から財産を贈与により取得した場合には贈与税ではなく所得税がかかります。
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、社会通念上、必要と認められるもの。
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られます。 したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
③ 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの。
奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの。
地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金。。
公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による
報告がなされたもの。
⑦ 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権国内に居住する特定障害者(特別障害者又は特別障害者以外で精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるなどその他の精神に障害がある者として一定の要件に当てはまる人)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を贈与により取得した場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社などの営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の障害者は3,000万円)までの金額に相当する部分については贈与税がかかりません。
⑧ 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの。
⑨ 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの。
⑩ 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの。
⑪ 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産。 この場合は、贈与税ではなく、相続税がかかります。 しかし、相続開始の年に婚姻期間が20年以上である被相続人から贈与によって取得した居住用不動産については、過去にその被相続人からの贈与について配偶者控除を受けていないときは、その居住用不動産について贈与税の配偶者控除があるものとして控除される部分や⑨、⑩の部分は、相続税の課税価格に加算されず、相続税はかかりません。 この加算しない部分は、贈与税の申告をする必要があります。 また、申告する必要がある部分について、配偶者控除の適用要件を満たしている場合にはその適用を受けることができます。
年間110万円までの贈与は非課税
110万円までの贈与は非課税ですから、親が子供にポンと百万円の札束を渡しましたが、子供は申告しませんでした。 これは間違ってはいません。 しかし、相続税対策として毎年百万円ずつ数十年間渡し続けていたところで親が死亡し、相続が発生したとします。 既にもらっていたお金は相続の対象となりませんが、 毎年貰っていたという証拠がありません。 そこで、税務署の要らぬ追及を受けて、課税されてしまうこともあります。 賢明なやり方は、あえて申告して証拠を税務署に残すことです。 具体的には、非課税の110万円の贈与を受けるのはなく、111万円の贈与を受けます。 こうすると、非課税ではないので申告をする必要がありますが、課税されるのは110万円を超えた1万円だけですので、贈与税額は1,000円です。 この1000円を無駄な出費と考えるか、後に税務署に対し争点を残さないための手続料と考えるかです。 ただし、通帳、印鑑、カードを親が管理している子供名義の預金口座に入金したような場合、子供はこのお金を自由に使うことができませんから、このような場合には贈与があったと判断され、贈与税が課せられます。
贈与税の申告と納税
贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。 平成24年分の贈与税の申告からe-Taxを利用して送信できます。 e-Taxホームページ(www.e-tax.nta.go.jp)参照。
申告期限までに申告しなかった場合や実際にもらった額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税が課せられます。 また、納税が期限に遅れた場合は、その遅れた税額に対して延滞税が課せられます⇒延滞税について。
相続時精算課税選択の贈与税
相続時精算課税を選択した場合の贈与税の計算を具体例で説明すると次のようになります。
例:父から生前贈与を受け、父からの贈与について相続時精算課税を選択する場合
(1年目)
父から1,000万円贈与を受け、その贈与について相続時精算課税を選択する。
(1)父からの贈与
<課税される金額の計算>: 1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0
<翌年以降に繰り越される特別控除額の計算>: 2,500万円-1,000万円=1,500万円
(2年目)
父から1,000万円の贈与を受ける。
<課税される金額の計算>: 1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0
<翌年以降に繰り越される特別控除額の計算>: 1,500万円-1,000万円=500万円
(3年目)
父から1,000万円の贈与を受ける。
<課税される金額の計算>: 1,000万円-500万円(特別控除額)=500万円
<贈与税額の計算>: 500万円×20%=100万円(贈与税額)
相続時精算課税を選択した場合、その後の撤回はできません。 また、相続時精算課税の特別控除を受けるためには、贈与税の期限内申告が必要です。 なお、相続時精算課税を選択した場合、その選択に係る贈与者(上記の例では父)が死亡したときの相続税の課税価格に、その贈与者から贈与により取得した財産の贈与時の価額を加算することとなります。
上記の例では父から贈与を受けた財産の合計額3,000万円を父が死亡したときの相続税の課税価格に加算することとなります。
相続時精算課税の 税額の計算
(1) 贈与税額の計算
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、その贈与者(親)から1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。 なお、相続時精算課税を選択した受贈者(子)が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。
(注) 相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。
(2) 相続税額の計算
相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。 なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。
適用手続
相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。
相続時精算課税は、受贈者である子それぞれが贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
贈与税額速算表
速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。 それにより贈与税額が分かります。
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 |
50% |
225万円 |
(例)贈与財産の価額の合計が5000万円の場合
・基礎控除後の課税価格 5000万円-110万円=4890万円
・贈与税額の計算 4890万円×50%-225万円=2220万円
相続税 相続税は、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合にその超える部分(課税遺産総額)に対して、課税されます。 この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続時精算課税は、贈与時に、贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です。 したがって、相続時精算課税の選択を行った場合に、その贈与者が亡くなったときには、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税の計算を行います。この計算の結果、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は必要ありません。
(注) 相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
相続税額の計算
相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。 なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。
相続税額の算出方法は、各人が相続などで実際に取得した財産に直接税率を乗じるというものではありません。 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法に定める相続分により按分した額に税率を乗じます。 この場合、民法に定める相続分は基礎控除額を計算するときの法定相続人の数に応じた相続分により計算します。 実際の計算に当たっては、民法に定める相続分(法定相続分)により按分した額を下表に当てはめて計算し、算出された金額が相続税の基となる税額となります。
この速算表で計算した各相続人の税額を合計したものが相続税の総額になります。
相続税速算表
課税標準 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
- |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円超 |
50% |
4,700万円 |
相続財産から差引できる債務
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。 なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。 しかし、①相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
②葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。
相続税の基礎控除額
基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数、ですが、来年2015年1月から3,000万円+600万円x法定相続人の数に変わりますので、注意して下さい。
配偶者の税額の軽減
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。 したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。 ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込み所」」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。 なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
配偶者の税額軽減を受けるための手続
(1) 税額軽減の明細を記載した相続税の申告書又は更正の請求書に戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出してください。 遺産分割協議書の写しには印鑑証明書も添付する必要があります。
(2) 相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続をする必要があります。
国税・地方税の体系
国税・地方税ともに多くの税目がありますが、それぞれが単体で設定されているわけではなく、それぞれが関連し合い体系的に形成されています。
国税 |
直接税 |
収得税 |
所得税、法人税 |
財産税 |
相続税、贈与税、地価税 |
||
間接税 |
消費税 |
酒税、揮発油・地方道路税、石油税、航空機燃料税、 |
|
その他 |
流通税 |
有価証券取引税、取引所税、とん税、特別とん税、印紙税、 |
|
地方税 |
道府県税 |
普通税 |
道府県民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、道府県 |
目的税 |
自動車取得税、軽油取引税、入猟税、水利地益税、 |
||
市町村税 |
普通税 |
市町村民税、固定資産税、軽自動車税、市町村たばこ税、 |
|
目的税 |
自動車取得税、軽油取引税、入猟税、水利地益税、 |
相続税の納税義務者と課税財産
相続税がかかる人及び相続税の課税される財産の範囲は、次のようになっています。
相続税のかかる人と課税される財産の範囲の表 |
|
相続税のかかる人 |
課税される財産の範囲 |
(1) 相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有している人 |
取得したすべての財産 |
(2) 相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有 しない人で次の要件全てにあてはまる人 イ 財産をもらった時に日本国籍を有している ロ 被相続人又は財産をもらった人が被相続人の死亡の日前5年以内に日本に住所を有したことがある |
取得したすべての財産 |
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有しない人で次の要件全てにあてはまる人 イ 財産をもらった時に日本国籍を有していない被相続人がその死亡の日に日本国内に住所を有している |
取得したすべての財産 |
(4) 相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した人で日本国内に住所を有しない人((2)及び(3)に掲げる人を除きます。) |
日本国内にある財産 |
(5) 上記(1)~(4))のいずれにも該当しない人で贈与により相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した人 |
相続時精算課税の適用を受ける財産 |
(注)
1 人格のない社団や財団又は持分の定めのない法人などに対して相続税がかかる場合があります。
2 上記の表の(3)の納税義務者の区分は、平成25年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税に適用されます。
相続時精算課税Q&A
Q1:相続税がかかるほど親が財産を持っていない場合は、メリットがないのですか?
A1:相続時精算課税は、相続税が将来かからないと見込まれる親子間の贈与にもメリットがある制度です。 従来の暦年課税制度の下では、相続財産の価額が相続税の基礎控除以下のため相続税額が算出されないケースであっても、生前贈与で資産を移転すると贈与税の負担が生じていました。相続時精算課税の下では、上記のケースで、特別控除額2,500万円以内の生前贈与については贈与時、相続時を通じて税額ゼロとなります(贈与税の負担をゼロとするためには、贈与税の期限内申告、翌年の2月1日~3月15日が必要です。)。 また、上記のケースで、特別控除額2,500万円を超える生前贈与では、超過額に対し一律20%の税率で贈与税がかかりますが、相続時には申告をすることにより、先に納付した贈与税額が全額還付されます。
Q2:相続時に精算されるのなら、納付する相続税及び贈与税を併せた税金の額は同じですから、将来、相続税がかかる人にはメリットがないのではないですか?
A2:相続時精算課税は、生前贈与を行いやすくなるというメリットがあります相続時精算課税の適用により、相続を待たずとも生前贈与により贈与税の負担をすることなく、資産を子に渡したい時に渡せるようになることがメリットです。なお、相続時の精算では贈与財産は贈与時の価額で相続財産に合算されることになります。
Q3: 適用対象者の要件である「贈与者の推定相続人」とはどのような人をいうのですか?
A3:贈与をした日現在において、その贈与をした人の直系卑属のうち、最も先順位の相続権(代襲相続権を含)のある人をいいます。したがって、養子縁組をしていない義父母からの贈与は相続時精算課税の制度を適用できません。 この推定相続人であるかどうかの判定は、その贈与の日において行います。
Q4:養子縁組の解消により特定贈与者の推定相続人でなくなった場合は、相続時精算課税の適用はありますか?
(注)特定贈与者とは、相続時精算課税選択届出書に係る贈与者をいいます。
A4: 特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます。
(養子縁組の解消(離縁)前後に財産の贈与を受けた場合の事例)
05年 2月20日 財産の贈与(イ)
06年 6月24日 養子縁組の解消
07年11月30日 財産の贈与(ロ)
(説明)
養子縁組の解消前の贈与(イ)について、相続時精算課税の適用を受けている場合には、養子縁組の解消後の贈与(ロ)についても、相続時精算課税が適用されます。
Q5: 相続時精算課税選択届出書を提出期限(原則として贈与の年の翌年3月15日)を過ぎてから提出した場合は、相続時精算課税の適用は受けられないのですか?
A5:相続時精算課税の適用を受けることはできません。
(相法21の9、相基通21の9-3)
Q6:私は、前年に実父からの贈与につき相続時精算課税適用の贈与税の申告をしています。 翌年に私は実父から現金50万円の贈与を受けました。贈与税の基礎控除が110万円ですので、申告は不要ですか?
A6:あなたの場合は、実父からの贈与については、前年に相続時精算課税の適用を受けていますから、暦年課税に係る贈与税の基礎控除の適用はなく相続時精算課税による贈与税の申告が必要です。
なお、期限内申告でない場合は、相続時精算課税の特別控除が適用されず、20%の税率で贈与税がかかります。また、加算税や延滞税がかかる場合がありますので、ご注意ください。
(相法21の9、21の11、21の12)
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