危ない遺産⑦「墓」

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   親が死亡した際に、必然的に「」や「仏壇」を相続することになります、民法では墓の使用者が生前に遺言で「祭祀の承継者」を指名していれば、その人が継承することになります。 その際、継承者は必ずしも遺産の相続人や親族である必要はなく、友人などでも問題ありません。 指定がない場合は、慣習に従って承継者が決められることになります。 家督相続制度が廃止されましたが、一般的には長男が承継者とされ、墓には祭祀の主宰者として長男の名前が彫られることが多いようです。 しかし、墓を継ぐといっても、墓は「祭祀財産」と言って相続財産とは明確に区別され、相続税の対象にはなりません。 その代わり、継承後は毎年の管理科(年間1~3万円)や供養をする義務(僧侶のお布施)を負うことになり、仏事全般を取り仕切る責任が生じます。 墓を相続するからといって、管理・維持費を相続財産に上乗せするという権利は認められることは少ないです。 相続者を指名しておらず、慣習でも決められない場合、最終的には家庭裁判所に決定して貰うことになりますが、 現実的には家族の話合いで決めることが多いようです。

 都会に暮らす人が多くなるにつれて、地方では過疎という、墓にとっても深刻な問題が生じています。 故郷のお寺には先相代々の墓があっても、跡を継ぐ人間が都会に出てしまったためにお墓の維持・管理をする人かいなくなり、墓地管理料を滞納することで、無縁墓になってしまうことがあります。 そこで墓を都会の霊園に移すという作業が必要になってきます。 埋蔵・収蔵したお骨を他の墓に移すことを「改葬」といいますが、その手続きは「墓埋法」の規定にしたがわねばなりません。 まず、新墓の管理者(お寺や霊園)から「受入れ証明書」を発行してもらいます。 次に旧墓の管理者から「埋墓証明書」を発行してもらい、市町村役場に申請して、「改葬許可証」の公布を受けます。 そして「改葬許可証」を再び、古いお墓の管理者に提示して、住職に墓を引払うための供養をお願いします。 これが「魂抜」と呼ばれるものです。 旧墓に納めていたお骨は、すでに土に返って、なにも残っていないかもしれませんが、そのときは、その土を新墓の納骨棺に入れます。 新墓にお骨を納めるときには、まず「改葬許可証」を管理者に提出し、そのうえで改めて納骨の供養をして貰い新墓籍簿に記入します。 
 
相続時の手続き
 親が死亡すると、墓がある霊園や寺院に、永代使用権の所有者が代わったことを届出る必要があります。 それは、墓地の管理科の請求先を変更してもらうためです。例えば、都立霊園の場合、墓を承継するときには知事の承認が必要(都霊園条例)であり、知事の承認を受けたうえで墓地の使用許可証の書換えをします。 一方、寺院墓地を承継した場合は、墓だけでなく檀家の務めも同時に受継ぐことになります。 寺にはお墓の承継者の変更届を提出することにより、これ以降、檀家としての扱いを受けることになり、寄付金の要請などに対応しなければなりません。
 
承継者のいないお墓はどうなる
 指定された承継者が毎年墓地の管理料を支払って供養してくれるとは限りません、一定期間、管理料が支払われないときには永代使用権を取消されることになります(都立霊園では5年)。 しかし承継者が全く存在しない場合でも、生前に墓を建て、死後十七年、三十五年の管理料をお寺等に支払っておくという方法や、遺言でその旨を記載する方法もあります。 それ以降はお寺の永代供養塔に入れてもらうよう、一括で永代供養料をしはらえば、問題はありません。
 
 
お墓の相続問題Q&A
Q1:相続後、お墓の維持費はだれが支払うのですか? 二男が親と同居していたの
   で、法事なども二男がすべて取り仕切っていますが、両親が亡くなった後、二 
   男が引継ぐのであれば、費用分を相続財産からもらえますか? 
A1:祭祀承継者の経済的負担を考慮して相続割合を変えることは、よくあることで    
   す。 それは、法要の諸費用や墓地維持の費用等、出費が多くなるからです。
   遺産分割協議書にて相続人全員が合意すれば、法定相続割合に固執する必要は
   ありません。

Q2:先日、父親が亡くなり、兄弟3人で父親の財産を相続することになりました。
   長男がその墓を承継することに決まったのですが、二男から、「お墓の取得は
   特別受益になるので、長男は相続分を減らすべきだ」と要求していますが?
A2: 長男の相続財産を減らすべきとの二男の要求に応ずる必要はありません。
   確かに、お墓を新規に購入すると、墓石代、永代使用料等の諸費用がかかりま
   す。 このうち、永代使用料は、約20万円~1,000万円というところです。
   しかし、お墓を承継するというのは、お墓の管理料を支出したり、多くの出費   
   義務があります。 民法897条では、お墓を相続財産とは別個の祭祀財産と
   し、相続の財産とはされていません。
 
 
 

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コメント: 1
  • #1

    sex telefon (金曜日, 03 11月 2017 18:10)

    szczakowski