「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が相続財産として注意を要する境界線が不明な土地につき解説致します。 相続発生時、遺産分割のために売却をする手続きをしたところ、境界線が不明で即売却出来なくて、トラブルケースが多々あります。 遺産相続発生時には、必ず法務局にて確認することを薦めます。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。
境界線が不明な土地
30年以上売買されていない土地は、境界線が曖昧な形で放置されている可能性が高いです。 土地を物納したり、売却してその金員で相続税を支払う場合は、測量して敷地境界を確定する必要がありますが、相続税の支払いが発生しない場合には、登記簿の名義変更のみで済ませてしますことが殆どです。 従って、いざ建替、売却となってから境界線の問題に気ずくケースが多いです。 相続の発生時点で測量をいれるのも一法ですが、本格的な解決にはなりません。 やはり、土地を取得した時の経緯や当時の利用状況を知る、被相続人が在命中にはっきりさせておくべきです。 事情の分からない相続人同士の争いは、その解決に時間と労力が掛り、全く不毛です。
境界認定の判断資料
不動産登記法14条地図
この地図は、昭和35年の不動産登記法の改正により創設されたものであるところ、高度の制度を持った地図です。 現地復元力があり、地震や洪水などの災害のほか、宅地造成などにより、公法上の境界が不明となった場合でも、この地図から現地で境界を復元できる機能があります。
不動産登記法では、一筆の土地ごとに土地登記記録を備えて、これに土地の所在、地番、地目及び地積に関する事項を記載することで、登記された土地を特定することにしています。 しかし、これだけでは土地の位置や区画を具体的に現地で特定することは出来ません。 そこで不動産登記法14条1項では、登記所に地図および建物所在図を備え付ける旨を、同条2項では、地図は一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものと規定しています。 この地図は公共基準点を基点として境界を測量するもので、必ず筆界点1点ごとの座標値と共に管理され、災害等により土地の位置や区画が不明確になっても境界を復元することが可能となります。 東北、九州地方などでは、整備が進んでいますが、東京などの都市部におていは、登記所の予算・人員・複雑な権利関係等からその作製は遅れがちで、本格的に作成されるには至っておりません。
①不動産登記法14条条文
1.登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
2.前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確に
し、地番を表示するものとする。
3.第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及
び家屋番号を表示するものとする。
4.第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられ
るまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。
5.前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及
び地番を表示するものとする。
6.第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に
記録することができる。
②公図(旧土地台帳付属地図)
公図の原型は、明治時代初期の「野取絵図」や明治時代中期の「更正図」であるといわれていますが、その多くは、地租徴収の為の地図を基本として作製されたものであり、地租を少額にするため、「縄伸び」が多くみられます。
公図は、不動産登記法14条地図が備え付けられるまでの間、これに代えて登記所に備え付けられる図面で、土地を特定し、土地の位置、形状、地番等を明らかにする資料として広く利用されています。
しかし、公図の精度は、作製時期・経緯、作製方法、地目等によりさまざまであり、一般的に、距離、面積、方位、角度のような定量的側面はそれほど信用することができないので、これのみで現地復元能力を有していません。 もっとも、各土地の形状、その相互の配列状態、道路、河川等との位置関係等を知る参考になると考えられ、今でも利用されています。
③地積測量図
地積測量図とは、土地の表題登記、分筆登記、地積変更登記など、登記簿上、新たな地積を記載すべき登記又は登記記録上の地積に移動を生ずる登記の申請の際に添付情報としえ登記所に提出される図面であります。
もともとは、地積の求積方法・算出根拠を知るために添付されたものですが、現在は申請にかかる土地の地積および求積方法、方位、地番、隣地の地番を明らかにするとともに、境界標があるときは境界標を、ないときは近くの「恒久的地物」、すなわち恒久的に存在するものとの位置関係を記載することとなっており、現地特定・復元機能を有します。 しかし、特定の境界標を中心にして実測された部分に限定されるので、それ以外の土地に関して基準とはなりません。
第一 境界確定訴訟
第1公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)の違い
1.公法上の境界(筆界)
(1)公法上の境界(筆界)の定義
1)表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間
2)当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた
3)2以上の点及びこれらを結ぶ直線
(2)公法上の境界(筆界)の変更
公法上の境界(筆界)は、客観的に固有するものであり、各筆の登記簿上の所有
名義人の意思のみによって筆界を処分したり変更したりすることはできない。
(最高裁昭和31年12月18日判決)
公法上の境界(筆界)を変更するためには、登記官が分筆、合筆(不動産登記法
39条)という形成的行政処分を行わなければならない。
(3)紛争の解決方法
紛争の解決は、これまで境界確定訴訟によって行われたが、平成17年の不動産登
記法改正により、筆界特定制度も紛争解決の新たなメニューとして加わった。
2.私法上の境界
(1)私法上の境界(所有権界)の定義
私法上の境界(所有権界)は、所有権に基づき、隣接地当事者間で合意された境
界線である。
(2)私法上の境界(所有権界)の変更
私法上の境界(所有権界)は、私的自治の原則に基づき、当事者が自由に決定
し、処分できる。
(3)紛争の解決方法
私法上の境界(所有権界)に争いがある場合は、所有権の範囲を確認する所有権
確認訴訟(民事訴訟法134条)によって解決する。
3.これまでの裁判実務においても、公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権
界)は、明確に峻別され、境界確定訴訟の審理の対象である「境界」は、公法上の
境界(筆界)を指すものと解され、私法上の境界(所有権界)は通常の所有権確認
訴訟により解決されてきた。
4.公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)が異なる場合
(1)公法上の境界(筆界)は、手続法である不動産登記法により、私法上の境界
(所有権界)は実体法である民法により規律される。
(2)公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)は一致する場合が多い。
(3) しかし、一筆の土地の一部が売買されたにもかかわらず、分筆・合筆登記がな
されなかったり、公法上の境界(筆界)を越えて土地の一部が時効取得される
(民法162条)などして、両者が一致しない場合がある。
第2境界確定訴訟の対象としての境界
判例・通説は、公法上の境界(筆界)こそが境界確定訴訟の対象であるとする。
第3境界確定訴訟の性質
実質的な非訟事件であり、少なくとも立証責任の適用がなく、従って、境界線につ
いて証拠上証明がなくても原告は請求を棄却されることがなく、裁判所によって妥
当な境界線を確定してもらうことができる。
形式的形成訴訟説が通説・判例である。
客観的な境界線を発見できない場合でも、また、当事者の主張に拘束されないで
(当事者の合意にも左右されない。民事訴訟においては、裁判所は当事者の申し立て
ない事項について判決することができないとされている(民事訴訟法246条)が、
境界確定訴訟は、民事訴訟法246条の適用がない。認諾にも拘束されない。)衡平
の観点から境界を確定し得る訴訟としてこそ境界確定訴訟の存在理由がある。
控訴審での不利益変更の禁止(民事訴訟法304条)の適用がない。
このような訴訟の本質は非訟事件であるというべきで、境界確定訴訟は本来非訟事
件であるものを民事訴訟の形式によらしめたもので、形式訴訟というほかはない。
第4国有地と私有地との境界
国有地と私有地との境界に関して紛争を生ずることがある。
その場合の解決方法として、国有財産法に特別の定めがある。
国有財産の境界が不明な場合で、その管理に支障がある場合には、隣接地の所有者
に対し、立会場所、期日その他の必要な事項を通知して、境界を確定するための協
議を求めることができ、その所有者は、やむを得ない場合を除き、その協議をしな
ければならない。
協議が整えば書面により確定された境界を明らかにしなければならないし、協議が
整わないときは、行政上の処分を行えない(国有財産法31条の3)。
隣接地の所有者が協議に応じない場合には、当該隣接地の所在する市町村の職員の
立会を求め、更に、その地域を管轄する財務局に置かれた地方議会に諮問する等の
手続を経た上で、各省各庁の長は、境界を確定することができる(国有財産法31条
の4)。 この境界の定めには、公告のあった日から60日内に不同意を通告するこ
とができ、その通告がないと同意があったものと見做され(国有財産法31条の5、
境界が確定する。
上記の国有財産法31条の3ないし5による境界は、国有地と隣接民有地との所有権
の範囲を定める私法上の契約と解すべきであるとして、その行政処分性を否定して
いる。 従って、当事者としては、改めて公法上の境界(筆界)の確定を求めて境
界確定訴訟を提起することは可能である。
しかし、一旦所有権の範囲を確定したということは、相当強く斟酌される。
(大阪地裁平成4年6月22日判決、鳥取地裁米子支部平成6年11月10日判決)
第5 境界確定訴訟の立証
1.証拠調手続
1)証人尋問
2)当事者尋問
3)鑑定
4)書証
5)現場検証
6)職権証拠調は出来ない(通説)。
2.書証
1)地図
・不動産登記法14条1項地図
・法務局作成地図
・国土調査法に基づく地籍図
・土地区画整理法、土地改良法に基づく土地所在図
2)測量図
3)土地登記簿謄本
4)公図旧土地台帳附属地図
5)写真
6)古文書
7)古地図
8)空中写真
9)その他
(注)国土調査法による地籍調査はあくまでも土地の現状のあるがままを調査する
ものであり、その結果によって境界を確定したり、形成したりする効力を有する
ものではない。(最判昭和61年7月14日)
国土調査の結果地籍図が作成されても、その記載の通り境界が画定するわけでは
ない。
第6境界確定訴訟の判決の効力
境界確定訴訟の判決は、形成判決だから、対世効があり、訴訟の当事者でない第三
者も登記官も拘束される。
1.筆界特定の定義
(1) 筆界特定とは、一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、筆界の現地
における位置を特定すること(その位置を特定出来ない場合は、その位置の範
囲を特定すること)を指す。(不動産登記法123条)
すなわち、筆界特定登記官という公的機関が、筆界の現地における位置につい
て、不動産登記法第6章の「筆界特定」の手続に基づく「認識を表示」する行
為である。
(2)筆界特定登記官は、筆界の形成はできない。
あくまで筆界の位置ないし筆界の位置の範囲を特定し確認するだけである。
(3) 「筆界特定」は、行政機関である筆界特定登記官が行う行為だが、単に筆界特
定登記官の認識を表示し、位置を特定する行為であり、新たな筆界を形成する
行為ではなく、行政処分としての性質を有しない。
2.境界(筆界)確定訴訟(不動産登記法1447条、148条等)と筆界特定制度との関係
(1)手続の先後関係はない。(筆界特定前置主義はとらない。不動産登記法147
条)
1)境界確定訴訟が未提起 →筆界特定の申請可能
2)境界確定訴訟が提起済み
ア 判決が言い渡されていない
→筆界特定の申請可能
イ 判決が言い渡されたが判決が確定していない
→筆界特定の申請可能
ウ 判決が言い渡されて判決が確定した
→筆界特定の申請は却下
3)既に筆界特定がなされている
→筆界特定の申請は却下
(特段の必要がある場合を除く)→境界確定訴訟は提起可能
(2)効力の関係
筆界特定は、境界確定訴訟の判決に抵触する範囲で失効する。
(不動産登記法148条)
1. 地番の付されていない国有地の所在を図面上で表示し、同地と地番の付された民
有地との境界の確定を求める訴訟は、事実の確認を求めるものではなく、適法な
境界確定の訴えである。(国が、河川敷地について、所有権を主張する被告らに
対し、所有権確認・境界確定を請求した事案である。)(最高裁平成5年3月30日
判決)
2 .国有財産法31条の3の協議による境界確定は行政処分に該当しない。
但し、この判決は、国有財産法31条の4の決定による境界確定には触れていな
い。(東京地裁昭和56年3月30日判決)
Q&A
Q1:土地の境界とはなんでしょうか?
A1:土地には2種類の「境界」があることをご存じですか。一つは、その土地が法務
局に初めて登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた
「筆界」と言われる土地と土地とを区画する境界です。その後に分筆や合筆の
登記手続により変更されていないかぎり、登記されたときの区画線がそのまま
現在の筆界となります。筆界は、土地の所有者同士の合意によって変更するこ
とはできません
もう一つは、「所有権界」といって、土地の所有者の権利がどこまで及ぶのか
を画する境界です。所有権界は土地の所有者間で自由に移動させることができ
ます。筆界と所有権界は一致するのがふつうですが、土地の一部についてほか
の方に譲り渡したり、ほかの方が時効によって所有権を取得したりした場合に
は、筆界と所有権界が一致しないこともあります。
土地の境界をめぐる紛争のほとんどは、「筆界不明」によるものです。特に、
古くからの土地の場合、隣地との筆界が不明な場合も多く、その土地にある家
屋を改築したり、土地を売買したりしようというときに、筆界をめぐってトラ
ブルになるケースが少なくありません。そこで、こうした筆界をめぐるトラブ
ルの予防や早期解決に役立てるため、不動産登記法等の一部を改正する法律に
より、平成18年1月から「筆界特定制度」が始まりました
Q2:筆界特定制度とはなんですか?
A2:筆界特定制度とは、土地の所有者の申請に基づいて、筆界特定登記官が、民間
の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位
置を特定する制度です。筆界特定とは、新たに筆界を決めることではなく、実
地調査や測量を含む様々な調査を行った上、過去に定められたもともとの筆界
を筆界特定登記官が明らかにすることです。特定された筆界は、公的機関が判
断を示した筆界となり、土地の筆界の位置が問題となったときなどに、筆界の
位置を示す証拠としての力をもちます。
土地の筆界をめぐる問題が生じたときには、裁判(筆界確定訴訟)によって筆
界を明らかにするという方法もありますが、その場合、筆界を明らかにするた
めの資料収集は所有者自身が行わなければなりません。
筆界特定制度を活用することによって、公的な判断として筆界を明らかにでき
るため、隣人同士で裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることが
できます。また、当事者の資料収集の負担も軽減されるというメリットもあり
ます。
Q3:筆界特定はどのように行われますか?
A3:筆界特定は、土地所有者などからの申請に基づいて行われます。筆界特定の申
請ができるのは、土地の所有者として登記されている人、または、その相続人
などです。申請人は、対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法
務局の筆界特定登記官に対して、申請書に必要事項を記載し、必要書類を添え
て申請することになっています。
筆界特定登記官は、申請に基づいて筆界特定の手続きを開始し、土地家屋調査
士や弁護士などの民間の専門家から筆界調査委員を任命して調査を行います。
筆界調査委員は、土地の実地調査や測量を含むさまざまな調査を行った上、筆
界に関する意見を筆界特定登記官に提出します。筆界特定登記官はその意見を
踏まえ、筆界特定を行います。なお、申請人や関係人は、筆界特定が行われる
前に、筆界特定登記官に対して、筆界に関する意見を述べたり、資料を提出し
たりすることができます
Q4:筆界特定制度を利用するメリットはなんですか?
A4: 筆界をめぐる問題の解決に筆界特定制度を活用することには、次のようなメリ
ットがあります。
(1)裁判に比べて費用の負担が少ない
筆界特定制度を申請する際には、申請手数料がかかります。申請手数料は、対
象となる土地の価額によって決まり、例えば、対象となる土地(2筆)の合計額
が4,000万円の場合は、申請手数料は8,000円になります。また、申請手数料の
ほか、現地における筆界の調査で測量を要する場合には、測量費用を負担する
必要があります。一般的な宅地の測量の場合、測量費用は数十万円程度となり
ますから、申請手数料と合計しても、裁判に比べて費用負担は少なくて済みま
す。
筆界特定申請手数料一覧
土地の合計価格(円) 手数料(円)
0~4,000,000 800
4,000,001~8,000,000 1,600
8,000,001~12,000,000 2,400
12,000,001~16,000,000 3,200
16,000,001~20,000,000 4,000
20,000,001~24,000,000 4,800
24,000,001~28,000,000 5,600
28,000,001~32,000,000 6,400
32,000,001~36,000,000 7,200
36,000,001~40,000,000 8,000
40,000,001~48,000,000 8,800
48,000,001~56,000,000 9,600
56,000,001~64,000,000 10,400
64,000,001~72,000,000 11,200
72,000,001~80,000,000 12,000
80,000,001~88,000,000 12,800
88,000,001~96,000,000 13,600
96,000,001~104,000,000 14,400
104,000,000~112,000,000 15,200
112,000,000~120,000,000 16,000
120,000,000~128,000,000 16,800
(2)裁判よりも早期に判断が示される
筆界特定制度の手続きは、訴訟手続に比べて早期に判断が示されます。裁判で
は、判断が示されるまでに約2年かかるといわれていますが、筆界特定制度の場
合は半年から1年で判断が示されます(ただし、複雑な問題の場合には、判断ま
でに長期間を要するものもあります)。
(3)民間の専門家の意見を踏まえた判断であり、証拠価値が高い
筆界特定制度では、筆界調査委員として、土地家屋調査士、弁護士などの民間
の専門家が関与します。筆界特定は、公的機関が専門家の意見を踏まえて行っ
た判断であることから、その内容について高い証拠価値が認められており、裁
判手続でもその結果が尊重される傾向にあります。
筆界特定制度は、境界紛争の相手方が話し合いに応じてくれない場合でも、一
方の土地の所有者だけで申請することができます。また、隣人と裁判をしなく
ても、土地の筆界を明らかにすることができ、土地の筆界に関する問題の解決
やトラブル防止を図ることができます。
ただし、所有権の範囲についての争いについては、直接の解決を図ることはで
きません。また、筆界特定の結果は、行政によって一つの基準が示されるとい
うことにとどまり、拘束力はありません。特定した筆界に不満がある場合や、
拘束力のある判決が必要な場合には、裁判(筆界確定訴訟)で解決を図ること
になります。
Q5:所有権界をめぐる境界トラブルの解決方法でADRがありますか?
A5: 例えば、筆界特定によって筆界が判明したとしても、その土地の一部につい
て、所有者でない人が長年利用しているなどの事実があって、時効によってそ
の部分の所有権を取得している場合は、その所有権界と先に特定された筆界と
は異なることになります。このように筆界と所有権界が異なる土地について、
所有権界を明らかにすることを求めている場合には、土地家屋調査士会ADR
(境界問題相談センター)または裁判(所有権確認訴訟)で解決を図ることに
なります。
このうち、土地家屋調査士会ADRは、各地の土地家屋調査士会が運営する制度
で、裁判ではなく、土地家屋調査士と弁護士が調停人として当事者間の話し合
いのお手伝いをすることによって、所有権界に関する問題の早期解決を図るも
のです。裁判の判決のような強制力はありませんが、和解契約書を履行しなけ
ればならないという法的効力が付与されます。
土地家屋調査士会ADRや境界確定訴訟でも、筆界特定制度による筆界は、証拠
として活用されますので、筆界特定制度は、境界トラブル解決の第一歩という
ことができます。
法務局・地方法務局では、筆界特定制度を申請した方の話をよく聞き、所有権
界の問題解決を求めている場合には、土地家屋調査士会ADRなどの利用をご案
内しています。境界トラブルでお困りのときは、お近くの法務局・地方法務局
に相談ください。
筆界特定制度と土地家屋調査士会ADRとの比較
筆界特定制度 | 土地家屋調査士会ADR | |
---|---|---|
対象 |
筆界 筆界 筆界 |
筆界の確認 |
所有権界 | ||
民事紛争 | ||
解決方法 | 筆界特定登記官の判断 | 話し合い |
決定書類 | 筆界特定書 | 和解契約書 |
法的効果 | 拘束力はない | 契約の履行 |
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sprawdź sam (金曜日, 03 11月 2017 23:37)
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