民間の老後の住まい④「サ高住」

 

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」サービス付き高齢者向け住宅につき解説致します。 サ高住は有料老人ホームや特養など、他の高齢者施設とは異なる部分があります。 その違いはサ高住は基本的にはただの住宅であって、介護保険のサービスが内部でうけられる施設ではありません。 従って、居住者の自由度が高く、自立生活が営める人には提起した居宅です。 施設の所掌官庁は厚労省ですが、サ高住の所掌官庁は厚労省も加わりなすが、国土交通省が主体です。  2012 年10月現在で、サ高住は13万447戸に急増しました。 2011年から2013年に急増した理由は、高専賃(高齢者専用賃貸住宅)や高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)がサ高住に登録変更したことや、国交省から2013年だけで、340億円が拠出され、さらに外郭団体の住宅金融支援機構から手厚い融資制度も整備されました。

税制面での優遇処置もあり、国交省は期間限定で、固定資産税を5年間で三分の二軽減したほか、不動産取得税や法人税の優遇しました。 また、建設費の十分の一の補助金もだすなどの大盤振る舞いの結果です。

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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

 サ高住とは、日本において、高齢者住まい法の基準により登録される、介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供する、バリアフリー構造の住宅です。 登録基準は設備・サービス・契約の三つにおいてそれぞれ設けられています。 高齢者単身・夫婦世帯が安心して居住、生活できる環境を整えた賃貸等の住まいづくりを推進するために制定されました。 登録は都道府県・政令市・中核市が行います、何か問題があれば自治体の立ち入り検査が可能です。 国による建設・改修費の補助、税制の優遇、住宅金融支援機構による融資により、供給を支援しています。

 高齢化が急速に進む中で、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが極めて重要である一方、サービス付きの住宅の供給は、欧米各国に比べて立ち後れているのが現状です。 このため、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サ高住」の都道府県知事への登録制度を国土交通省・厚生労働省の共管制度として創設しました。


登録基準
住宅      : 床面積(原則25㎡以上)、便所・洗面設備等の設置、バリアフリー
サービス: サービス提供(安否確認・生活相談サービスを提供)

      介護保険を利用した介護サービスを受けるには外部から訪問介護を依頼

      しなければなりません。
契約      : 高齢者の居住の安定が図られた契約であること
          前払家賃等の返還ルール及び保全措置が講じられていること

事業者の義務
・入居契約に係る措置(提供するサービス等の登録事項の情報開示、入居者に対する

 契約前の説明)
・誇大広告の禁止


指導監督

・住宅管理やサービスに関する行政の指導監督(報告徴収・立入検査・指示等)

 

規模・設備 

同居は親族などに限り、大部屋はありません。

・バリアフリー

・各専用部分に、水洗便所・洗面設備・台所・収納・浴室を備える。(ただし、台

 所・収納・浴室は、共用部分に備えることにより各戸に備える場合と同等以上の居

 住環境が確保される場合は、各戸に備えずとも可。)

・各専用部分の床面積は原則 25m² 以上。(共用の居間食堂・台所そのほかが十分

 な面積を有する場合は 18m² 以上。)

 

サービス

 ケアの専門家(社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員初任者研修課程修了者)が少なくとも日中常駐し、安否確認サービスと生活相談サービスを、すべての入居者に対して(強制的に)提供します。 常駐していない時間は、各居住部分に必要に応じて通報する装置を設置して、状況把握サービスを提供します。 しかし、介護保険を利用した介護サービスを受けるには外部から訪問介護を依頼しなければなりません。

 

契約関係

住宅の登録事業者に対するルールであり、別の宅建業者の仲介手数料は対象外です。

・賃貸借契約と利用権方式の契約があり、書面により契約を締結する。 専用部分が 

 明示されています。

・長期入院などを理由に事業者から一方的に解約や居室変更はできません。

・事業者が受領することができる金銭は、敷金・家賃・サービスの対価のみで、礼

 金・権利金やその他の金銭を受領しません。

・工事完了前に前払金を受領しません。

・家賃・サービスの対価の前払金を受領する場合は、前払金の算定の基礎、返還債務

 の金額の算定方法を明示します。

・保全措置が講じられなければなりません。

・入居3月以内に解約または死亡により契約が終了した場合、日割計算した家賃等を除

 き、前払金を返還します。

 

対象者

60歳以上の高齢者または要介護・要支援認定者およびその同居者です。 同居者は、配偶者・同条件の親族・特別な理由により同居する必要があると登録主体(都道府県又は指定機関)が認めた人です。 この範囲内で、例えば「要介護者のみ」や、逆に「入居時自立」など、入居者資格を限定している住宅もあります。

 

関与する法制度

根拠法

国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)が、2011年(平成23年)4月27日の通常国会で全面的に改正され、同年10月20日に施行されました。 それにより創設された登録制度です

 

有料老人ホームの該当する特定施設

有料老人ホームの定義にも該当する場合、有料老人ホームとして特定施設に該当する「有料老人ホーム」の届出は不要(老人福祉法第29条第1項)ですが、それ以外は老人福祉法の対象です。「有料老人ホーム」と名乗ることもできます。

 

特定施設入居者生活介護

特定施設が、特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合、住宅を提供している事業者が住宅と介護保険サービスを一体で提供します。

 

住所地特例の対象

特定施設入居者生活介護の指定を受ける住宅と、利用権方式の有料老人ホームは、 

 介護保険法の住所地特例の適用となります。(介護保険法第13条第1項)

・適合高齢者専用賃貸住宅等で住所地特例の適用のあった特定施設が、サービス付き

 高齢者向け住宅に変わってから住所地特例の適用でなくなった場合でも、以前から

 の入居者は引き続き住所地特例が適用されます。

 

沿革

「高齢者住まい法」には2011年の改正前に、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)・高齢者専用賃貸住宅(高専賃)・高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の3つの登録制度がありました。  高齢を理由に入居を拒否されずに安心して住み続けられる、バリアフリーなどの特徴がありましたが、高齢者の暮らしを支えるサービスの提供は登録条件に含まれておらず、介護の部分が曖昧な分類でした。 v法改正によりそれらの登録制度は廃止され、一本化する形で「サ高住」制度が創設されました。 一定のサービスを提供する高齢者住宅の整備を目標に、ハード面の基準、介護サービスについての基準、入居時の金銭のやりとりにも基準が設けられました。

廃止制度からの移行は以下の通りです。

・改正前の3種類の住宅で「老人ホームと同種のサービス」をしていた住宅は「

 住」もしくは「住宅型有料老人ホーム」への変更が義務付けられました。

・改正前の3種類の住宅で「住まいの提供」のみを行っていた住宅は「サービス付き高

 齢者向け住宅」への変更が義務付けられました。

・「適合高齢者専用賃貸住宅」は「サ高住」もしくは「介護付き有料老人ホーム」へ

 の変更になりました。

 

サービス

登録基準のサービスの他に、事業者・施設によって、その他の生活支援や介護・医療サービスが提供・併設されている場合があります。 内容、提供・連携方法は様々なタイプがあります。

 

介護サービス

特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合、住宅を提供している事業者が住宅と介護保険サービスを一体で提供します。 住宅が介護サービス事業所(居宅サービス:訪問介護、訪問看護、デイサービス、小規模多機能等)や診療所と併設・連携している場合もあります。  そうでない場合でも、通常の在宅介護と同様に、介護サービス事業所と契約した上で介護保険サービスを利用できますが、寝たきりになり重度の介護が必要になった場合、重度の認知症にかかった場合、あるいは医療的ケアが必要になった場合などは、退去して、介護施設に移り住まなければならない場合も考えられます。

 

介護サービス費の限度額の1カ月(30日)の自己負担額の目安

 
特定施設入居者生活介護の指定 要介護度
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
あり

\5,880
(\196

×30日)

\13,590
(\453

×30日)

\16,800
(\560

×30日)

\18,840
(\628

×30日)

\21,000
(\700

×30日)

\23,040
(\768

×30日)

\25,140
(\838

×30日)

なし \4,970 \10,400 \16,580 \19,480 \26,750 \30,600 \35,830

あくまで目安で、施設によって正確な金額は異なります。

 

生活支援サービス

宅配便や郵便物の預かり、外出の際の付き添い、買い物代行、食事の提供、洗濯、部屋の掃除やゴミ出しの家事援助などです。

 

評価

サ高住に関しては法律の施行と前後してさまざまな評価があります。 賃貸不動産管理士高木先生がその著書『サ高住経営』のなかで、家賃・医療報酬・介護報酬・生活支援サービスの4収益構造が実現できるとし、その高収益性を指摘しています。 高木先生の指摘するように不動産管理業界は大きなビジネス・チャンスとして捉えています。 また、株式会社メッセージ会長であり医学博士でもある橋本先生はサ高住の特徴は住まいとケアの分離にあるとし、ケアを主体とした施設から住まいを中心とした住居へと高齢者福祉が転換していくことを指摘しています。 高齢者が住居において十分なサービスを選択できることが理想ですが、サービス選択を保障する規定が不十分であるとしています。 ワタミの介護株式会社・株式会社メッセージ等のアドバイザーを務めた、医学博士鷹野先生は、サ高住においてはサービスの質が最優先されるとしています。 医療・介護・予防・生活支援を住みながらにして受けられる仕組み作りにより質の高いサービスを実現できるとし、住居において施設並みのサービスが可能であることを指摘しています。