退去強制・出国命令

 

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」退去強制・出国命令につき解説いたします、ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 退去強制とは、入管法に定められた行政処分の一つで、日本に滞在している外国人を強制的に日本から退去させることをいいます。 退去強制の処分に至るまでの調査・審理手続を含めて言うときは「退去強制手続」といいます。 一般的には、「強制送還」や「国外退去処分」と言われています。

 なお、入管法には日本国外の領域から日本に上陸しようとして拒否される処分(退去命令。)がありますが、退去強制とは趣旨・条項・罰則等が全く異なる別概念のものとされています。 報道等ではこちらも「強制送還」や「国外退去」と表現することがあり、両者を混同して認識されています。

退去強制事由

入管法第24条各号所定の退去強制事由を要約して列記します。 

① 有効旅券を所持せず本邦に入った者、又は入国審査官から上陸の許可を受けな

  いで本邦に上陸する目的を有して本邦に入った者(1号)

② 入国審査官から上陸の許可を受けないで本邦に上陸した者(2号)

③ 在留資格を取り消された者(2号の2)

④ 在留資格を取り消された者で、出国に必要な期間を経過して本邦に残留する者(2

  号の3)

⑤ 他の外国人に不正に上陸許可、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可等を受

  けさせる目的で、文書等を偽造し、偽造文書等を行使、貸与等をした者(3号)

⑥ 本邦に在留する外国人(仮上陸、寄港地上陸、通過上陸、乗員上陸の許可、又は

  遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次に掲げる者(4号)               

  1.資格外活動の禁止に違反して事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専

    ら行っていると明らかに認められる者(人身取引等の被害者を除く)。

  2.在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に在留する者

    (いわゆるオーバーステイ、入院等正当な理由がある場合を除く)

  3.人身取引等を行った者等

  4.旅券法違反の犯罪で刑に処せられた者(一部除外あり)

  5.入管法違反の犯罪で刑に処せられた者(一部除外あり)

  6.外国人登録法違反の犯罪で禁錮以上の刑(実刑に限る)に処せられた者

  7.少年で長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

  8.薬物犯罪で有罪の判決を受けた者

  9.そのほか無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者(実刑に

    限る)

 10.売春に直接関係ある業務に従事する者(人身取引等被害者を除く)

 11.他の外国人の不法上陸・不法入国をあおり、そそのかし、助けた者

 12.日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しく

    は主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党等を結成し若しくはこれに

    加入している者

 13.次に掲げる政党等を結成し若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係が

    ある者

 14.公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え又は公務員を殺傷する

    ことを勧奨する政党等

 15.公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党等

 16.工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨

    げるような争議行為を勧奨する政党等

 17.上記政党等の目的を達するため、文書図画を作成・頒布・展示した者

 18.そのほか法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行ったと認定する

    者

 19.別表第1の在留資格で在留する者で、一定の刑法犯罪等により懲役又は禁錮に

    処せられた者(4号の2)

 20.短期滞在の在留資格をもって滞在する者で、本邦において行われる国際競技

    会等の経過・結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、

    その会場等において不法に人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は

    建造物その他の者を損壊した者(4号の3。)

 21.仮上陸の許可の条件違反者等(5号)

 22.上陸拒否事由に該当し退去命令を受けた者で、遅滞なく退去しない者(5号の

    2)

 23.寄港地上陸の許可等を受けた者で、許可期間を経過して本邦に残留する者(6

    号)

 24.数次乗員上陸許可を取り消された者で、出国に必要な期間を経過して本邦に

    残留する者(6号の2)

 25.日本の国籍を離脱した者又は本邦で出生した外国人等が在留資格を取得せず

    に、国籍の離脱・出生の日から60日を経過して本邦に残留するもの(7号)

 26.出国命令を受けた者で出国期限を経過して本邦に残留するもの(8号)

 27.出国命令の際に付された条件に違反したため出国命令を取り消された者(9

    号)

 28.難民の認定を取り消された者(10号。一部除外あり)

 

退去強制の手続は、違反調査→収容→審査→口頭審理→異議の申出→退去強制令書の発付→退去強制令書の執行の流れで行われます、以下概説します。

違反調査

 違反調査とは、退去強制事由の存否について入国警備官により行われる調査です。入国警備官は、容疑者・証人を取り調べ、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の令状により臨検、捜索及び押収をすることができます。

収容

 入国警備官が、容疑者に退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当な理由があり、またその外国人が出国命令対象者に該当しない場合には、主任審査官に収容令書の発付を請求します。 主任審査官がこれを認めて収容令書を発付した場合、入国警備官は、容疑者に収容令書を示して容疑者を収容場等に収容することができます。 収容の期間は30日以内ですが、やむを得ない事由があるときには30日を限り延長することができ、最長60の収容が出来ます。 実務上は、退去強制事由に該当する場合であっても、帰国の意思をもって自ら地方入国管理局等へ出頭し、自力で帰国できる見込みがある者に対しては、入管法違反以外に犯罪の嫌疑がなければ、身柄の拘束は行わず在宅での取調べとなることも多いです。

審査

 入国警備官は、容疑者の収容後48時間以内に、調書及び証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡します。 引渡しを受けた入国審査官は、受け取った調書及び証拠物を精査し、容疑者から事情を聴取するなどして、容疑者が退去強制事由に該当するかについて審査を行います。 審査の結果、退去強制事由がないと認定された場合には、直ちに容疑者は放免されます。 出国命令対象者であると認定された場合には出国命令手続に移行し、容疑者は出国命令を受けたら直ちに放免されます。 容疑者が退去強制対象者に該当すると認定された場合には、その旨と口頭審理を受ける権利を告知されます。 容疑者が認定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付されます。

口頭審理

 容疑者が認定に異議があるときは、認定通知の日から3日以内(日数は通知の翌日から起算)に特別審理官に対し、口頭審理の請求をすることができます。 特別審理官は、関係書類を精査し、容疑者から事情を聴取するなどして、入国審査官の認定に誤りがないかの口頭審理を行います。 入国審査官の認定に誤りがあり、退去強制事由がないと判定された場合には、直ちに容疑者は放免されます。 出国命令対象者であると判定された場合には出国命令手続に移行し、容疑者は出国命令を受けたら直ちに放免されます。 容疑者が退去強制対象者に該当するとの認定に誤りがないと判定された場合には、その旨と異議の申出の権利を告知されます。 容疑者が判定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付されます。

異議の申出

 容疑者が判定に異議があるときは、判定通知の日から3日以内(日数は通知の翌日から起算)に法務大臣に対し、異議の申出をすることができます。 法務大臣又はその権限の委任を受けた地方入国管理局長は、関係書類を精査し、異議の申出に理由があるかを書面審理します。 異議の申出に理由があり、退去強制事由がないと裁決された場合には、直ちに容疑者は放免される。出国命令対象者であると裁決された場合には出国命令手続に移行し、容疑者は出国命令を受けたら直ちに放免されます。 異議の申出に理由がなく、在留特別許可をしないと裁決された場合には、主任審査官により退去強制令書が発付されます。 法務大臣等は、異議の申出に理由がない場合であっても、永住許可を受けているとき、かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき、人身取引等の被害者であるときその他法務大臣等が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときには、その者の在留を特別に許可し、直ちにその者を放免します。 ただし、「日本人との婚姻関係がある」と偽装結婚する、在留特別許可の悪用が、在日中国人社会で黒転白(ヘイ・ジャン・パイ)として流行しています。

退去強制令書の執行

 主任審査官により発付された退去強制令書は入国警備官(又は警察官若しくは海上保安官)が執行します。 退去強制令書の発付を受けた者は、入国者収容所長又は主任審査官の許可を得て、自費で本邦を退去することもできます。 退去強制を受ける者は原則として本国に送還されます。 実務上の取扱いとして、退去強制の費用(主に航空運賃)を自分で支弁できたり、差入れを受けることが可能な者は、身柄が拘束(収容)されていても10日から14日程度で出国ができますが、費用を支弁できない場合は、種々の手続・決裁を経て国家予算で送還されるため、収容状態が長期に及ぶこともあります。 退去者が、退去を拒んで暴れるケースもあるため、1人の退去のために数人の警備員を付ける必要があるなど、費用が嵩むことも多いです。 国家予算を使用することには批判も根強く、あくまで自費で退去させるようにすべきだとの批判があります。 退去費用の抑制のため、2013年より、退去先の国が同じ数十人の不法滞在者を、チャーター機で集団退去させる手法が導入されました。

  

退去強制手続及びの出国命令手続きの流れ

              

 1.違反調査

  違反調査とは、退去強制手続の第一段階であり、退去強制事由(入管法第24

   条に規定)に該当すると思われる外国人に対して、入国警備官が行います。

2.出頭申告

 ア   出頭申告とは、刑事手続における「自首」と同じように、退去強制事由(入管

   法第24条各号に規定)に該当する外国人が、自ら地方入国管理局に出頭してそ

   の容疑を申告することをいいます。

 イ 出頭申告には、容疑を申告し退去強制手続を受けて早く帰国したいという場合

   と、容疑を申告しても日本に引き続き在留したいという場合があります。 早

   期に帰国を希望する場合には、一連の退去強制手続を終え、送還要件(旅券、

   航空券など)が整っていれば、速やかに送還先に退去させます。 なお、一定

   の要件を満たす不法残留者は退去強制ではなく出国命令の対象となります。

 ウ 何らかの理由により日本での在留を希望する場合は、退去強制手続の中におい

   て、日本で生活をしたい理由を具体的に申し立て在留を希望することができま

   す。

3.収容

  違反調査の結果、容疑者が退去強制事由に該当すると疑う相当の理由があれば,

  地方入国管理局の主任審査官が発付する収容令書により容疑者を収容することと

  なります。 ただし、容疑者が出国命令対象者に該当すると認めるに足りる相当

  の理由があるときを除きます。[収容施設についてはこちら]

4.面会・差入れ    

  収容令書又は退去強制令書により入国者収容所や地方入管局の収容場に収容され

  ている外国人(以下「被収容者」といいます。)との面会の手続や差入れの際の

  留意事項等の説明を行っていますが、収容施設の実情により取扱時間等が若干異

  なる場合もありますので、詳細につきましては、各収容施設に必ずご確認くださ

  い。

  ○面会案内 

   1 被収容者との面会又は物品の授受を希望される方は、受付に申し出て必要な

      手続きをとってください。 

        2 面会を希望される方は、在留カード、特別永住者証明書又は旅券その他身分

     を証明する文書を提示してください。  

   3 面会の受付は、土曜日、日曜日及び休日を除く日の原則として9時から12時

      まで13時から15時までですが、 収容施設により異なる場合もありますので  

      各収容施設にご確認下さい。 

         4   面会時間は、原則として30分以内です。 ただし、面会を希望される方が

      多い場合などは、より多くの方が面会できるよう、それぞれの面会時間が短 

     縮されることもありますのでご了承下さい。  5面会の際には、カメラ、ビ

     デオカメラ、録音機及び携帯電話の持込みや使用はご遠慮願います。

  ○面会者心得 

  1 面会時間を厳守すること。 

  2 係官に無断で物品の授受を行わないこと。 

  3 暗号、隠語等を使用し、又はその他の方法で通謀を図ろうとする行動をとらな

    いこと。 

  4 以上のほか、すべて係官の指示に従うこと。  以上の各項目に違反した場合

    は、面会を中止させていただくことがあります。

  ○差入れの際の留意事項  

   基本的に、次に該当する物については、収容居室内への持ち込みはできません。
       また、飲食物についても保安上、衛生上の理由によりお断りする場合がありま

     す。 具体的な差入れの可否につきましては各収容施設にご確認ください。 

  1 刃物類その他の用法により凶器や逃走に利用されるおそれがある金属製品、

    ガラス製品及びひも類等 

  2 発火器具、引火物その他火災等の原因となるおそれのあるもの 

  3 劇毒物、睡眠薬、鎮静剤その他生命身体を害するおそれのある医薬品 

  4 酒類その他のアルコール含有飲食物

(3)仮放免    

   被収容者について、請求により又は職権で、一時的に収容を停止し、身柄の拘束を 

   仮に解く措置です。   収容令書による収容期間は「30日(但し、主任審査官におい

   てやむを得ない事由があると認めるときは、30日を限り延長することがでる)」、

   退去強制令書による収容は「送還可能のときまで」と定められていますが、被収容

   者の健康上の理由、出国準備等のために身柄の拘束をいったん解く必要が生じるこ

   ともありますので、そのような場合に対応するために設けられた制度です。    な

   お、仮放免の手続(法務省ホームページにリンクします。)については次のとおり

   です。

    ア   仮放免の請

     ○   仮放免を請求できる人  

           被収容者本人又はその代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉

           妹と定められています。

     ○   仮放免の請求先    

           被収容者が入国者収容所に収容されている場合は当該入国者収容所長に、ま 

           た、地方入国管理局の収容場に収容されている場合は当該収容場を所管する

           地方入国管理局の主任審査官に対して請求することになります。   なお、仮

     放免の請求に当たっては、仮放免が許可された場合に、被仮放免許可者の仮

           放免中の身元引き受け及び法令の遵守等の指導を確実に行っていただくため

           の、身元保証人を決めていただく必要があります。 

     ○   提出書類     

           仮放免許可申請書一通のほか、仮放免を請求する理由を証明する資料、身元

           保証人に関する資料等が必要となりますので、詳細については、仮放免の請

           求を行おうとする入国者収容所又は地方入国管理局にお問い合わせくださ

           い。
  イ   仮放免の許可     

        仮放免の請求があった場合は、入国者収容所長又は主任審査官が、被収容者の  

    情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮し

        て、その者を仮放免することができると定められております。
        入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免の許可に際して、300万円以下の保

        証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務

        その他必要と認める条件を付するものとされております。   なお、保証金につ

        いては、入国者収容所長又は主任審査官が適当と認めたときに限り、被収容者

        以外の者が差し出した保証書をもって保証金に代えることを許すことができま

        すが、保証書には、保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しな

        ければなりません。 

  ウ   仮放免の取消し

     ○   取消事由     

           仮放免許可を受けた外国人が、①逃亡した、②逃亡すると疑うに足りる相当

           の理由がある、③正当な理由がないのに呼出しに応じない、④仮放免に付さ

     れた条件に違反したときは、入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免を取

           り消すことができると定められています。 

     ○   収容     

           仮放免が取り消された場合、仮放免されていた者は、収容令書又は退去強制

           令書により、入国者収容所、地方入国管理局の収容場その他法務大臣又はそ

           の委任を受けた主任審査官が指定する場所に再び収容されることとなりま

           す。 

     ○   保証金の没取     

           仮放免が取り消されたときは、仮放免されたときに納付した保証金が没取さ

           れることになります。没取には全部没取と一部没取があり、取消しの理由

           が、前記①及び③の場合は保証金の全額、その他の理由による取消しの場合

           は保証金の一部が没取され、一部没取の場合における金額は、事情に応じて

           入国者収容所長又は主任審査官が決定することとなります。 

   エ   その他  

         退去強制令書により収容されていた者が仮放免中に自費出国する場合、又は仮

         放免の許可に期限が付されている場合であって、期間満了により再度収容され

         たときは、仮放免の取消しではないので、保証金は全額還付されます。

(1)引渡(入管法第44条)
     入国警備官は、違反調査により容疑者を収容したときは、身体を拘束した時から48時間以内に、調書及び証拠物とともに、その容疑者を入国審査官に引き渡さなければならないとされています。これを「引渡し」と呼んでいます。この引渡しを受けた入国審査官は、入国警備官の行った違反調査に誤りがなかったかどうかなどについて審査することになります。
     なお、入管法第63条には、容疑者が刑事処分等により身柄を拘束されているとき(未決勾留、服役中など)には、収容令書により身柄を拘束しないときでも退去強制手続を行うことができる旨の規定があり、容疑者を収容しないまま、違反調査を行い、入国警備官から入国審査官に事件を引き継ぐことがあります。これを「引継ぎ」と呼んでいます。この引継ぎを受けた入国審査官は、入国警備官の行った違反調査に誤りがなかったかどうかなどについて審査することになります。
(2)違反審査(入管法第45条から第47条)
     入国警備官から容疑者の引渡しを受けた入国審査官は、容疑者が退去強制対象者(退去強制事由のいずれかに該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない外国人をいいます。)に該当するかどうかを速やかに審査しなければならないとされています。
   入国審査官が、容疑者が退去強制対象者に該当すると認定し、容疑者がそれを認めて帰国を希望するときは、退去強制令書が主任審査官によって発付され、その外国人は退去強制されることになります。  一方、容疑者がその認定が誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが、日本での在留を特別に認めてもらいたいと希望するときは、第2段階の審査に当たる口頭審理を請求することができます。  なお、違反審査の結果、その容疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないことが分かり入国審査官がそのことを認定した場合や入国審査官がその容疑者が出国命令対象者に該当すると認定し、主任審査官から出国命令を受けたときは、入国審査官は直ちにその者を放免しなければならないとされています。
(3)口頭審理(入管法第48条)
     入国審査官が退去強制対象者に該当すると認定した場合で、容疑者がその認定が誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが、日本での在留を特別に認めてもらいたいと希望するときは、認定の通知を受けた日から3日以内に口頭をもって特別審理官に対し、口頭審理を請求し、これに基づき、審問が行われることとなっています。これが特別審理官による口頭審理です。特別審理官は、法務大臣が指定する上級の入国審査官です。
   特別審理官は、入国審査官の行った認定に誤りがあるかどうかを判定します。特別審理官が入国審査官の認定に誤りがないと判定し、容疑者がそれを認めて帰国を希望するときは、退去強制令書が主任審査官によって発付され、我が国から退去強制されることになります。 一方、容疑者がその判定が誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが在留を特別に認めてもらいたいと希望するときは、第3段階の審査に当たる法務大臣への異議の申出を行うことができます。 また、口頭審理の結果、退去強制事由のいずれにも該当しないことが分かり特別審理官がそのような判定をした場合や特別審理官がその容疑者が出国命令対象者に該当すると判定し、主任審査官から出国命令を受けたときは、特別審理官は直ちにその者を放免しなければならないと規定されています。
   なお、口頭審理において、容疑者又はその代理人は、証拠を提出し、証人を尋問し、また、容疑者は特別審理官の許可を受けて親族又は知人の1人を立ち会わせることができます。 他方、特別審理官は、証人の出頭を命じ、宣誓をさせ、証言を求めることができることとなっています。
(4)異議の申出(入管法第49条)
     入国審査官の認定、そして特別審理官の判定を経て、容疑者が、その判定が誤っていると主張したり、あるいは、誤ってはいないが日本での在留を特別に認めてもらいたいと希望するときは、その判定の通知を受けた日から3日以内に不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、最終的な判断を法務大臣に求めることができます。 これが異議の申出です。
     異議の申出は、特別審理官のさらに上級の入国審査官である主任審査官が法務大臣に書類を送付して行います。 主任審査官とは、最も上級の入国審査官の一つであり、法務大臣が指定します。
(5)法務大臣の裁決(入管法第49条)
     異議の申出を受理した法務大臣は、直接容疑者を取り調べることはしませんが、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、そして特別審理官の口頭審理という一連の手続で作成された証拠(事件記録)を調べて裁決することになります。 そして、法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した場合は、主任審査官にその旨を通知することによって、主任審査官が退去強制令書を発付することになります。 一方、主任審査官は、法務大臣から容疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないとして異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けたときや容疑者が出国命令対象者に該当するとして異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けて出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならないと規定されています。
(6)在留特別許可(入管法50条)
     法務大臣は、異議の申出に理由がないと認める場合でも、次のような場合には、在留を特別に許可できるとされています。 この法務大臣の裁決の特例が、在留特別許可です。
  *   永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)
  *   かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同項第2号)
  *   人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同項第3号)
  *   その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同項第4号)
     この在留特別許可は、本来であれば我が国から退去強制されるべき外国人に対して、法務大臣が在留を特別に許可することができるとされているものであり、許可を与えるか否かは法務大臣の自由裁量にゆだねられています。
※「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例」
(7)退去強制令書の発付(入管法第51条ほか)
     入国審査官の認定又は特別審理官の判定に服したことの知らせを受けるか、あるいは法務大臣への異議の申出に対して理由がない旨の裁決の通知を受けたときに、主任審査官が発付するのが退去強制令書です。
     一連の退去強制手続で「容疑者」と呼ばれた外国人は、この退去強制令書が発付されたときから容疑者ではなく「退去強制される者」(以下「被退去強制者」といいます)となり、我が国から退去させられることが確定した人となります。
(1)退去強制令書の執行
     退去強制令書が発付されると、入国警備官は、退去強制を受ける外国人に退去強制令書又はその写を示して、速やかにその外国人を送還しなければなりません。
     また、退去強制令書の発付を受けた外国人である「被退去強制者」を直ちに我が国から送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、地方入国管理局の収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができるとされています。
(2)送還
   送還先
     被退去強制者を送還する先は、その者の国籍又は市民権の属する国が原則ですが、国籍国等に送還することができないときは、本人の希望により、
  ①我が国に入国する直前に居住していた国
  ②我が国に入国する前に居住していたことのある国
  ③我が国に向けて船舶等に乗った港の属する国
  ④出生地の属する国
  ⑤出生時にその出生地の属していた国
  ⑥その他の国
     のいずれかに送還されることとなります。
     しかし、本人が①から⑥までのいずれかの国への送還を希望しても、相手国が受入れを認めなければ、送還することはできません。
     なお、法務大臣が我が国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除き、送還先の国には、難民条約第33条第1項(いわゆる、ノン・ルフールマンの原則)に規定する領域、すなわち,政治的意見等を理由にその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の属する国を含まないものとされています。
   送還方法
     送還には、大別して、自費出国、運送業者の負担による送還、国費送還の三形態があります。 当局では、国費送還が国民の皆様の貴重な税金によりまかなわれていることはもとより、不法就労を始め不法入国や不法残留等の入管法違反の防止を図る観点から、自費出国が可能な被退去強制者については、極力その努力を促し、帰国用航空券又は帰国費用の工面ができないため送還が困難となっている者、あるいは、特に人道的配慮から早期送還が必要不可欠と思料される者等についてのみ、国費送還の措置を執り、円滑な送還に努めることとしております。
     なお、「運送業者の負担による送還」の対象となるのは、
  ①一般の上陸審査の過程において上陸を拒否された者
  ②入管法第24条第5号から第6号の2までのいずれかに該当して本邦から退去強制される者です。
   
     また、上陸後5年以内に入管法第24条各号の一に該当して退去強制される者のうち、その者が上陸するときに運送業者がその者が退去強制の理由となる事実があることを明らかに知っていたと認められる場合も、この送還の対象となります。
(3)自費出国
     自費出国の許可
       入国者収容所長又は主任審査官が、被退去強制者の自費出国を許可するに当たっては、被退去強制者が、我が国から退去する意思を有しているだけでは足りず、被退去強制者が所持する旅券、航空券及び所持金その他の状況から、自らの費用負担による確実な出国が具体的に可能であることが確認できなければなりません。
     送還に必要な要件
       速やかな自費出国を実現するためには、有効な旅券、送還先まで搭乗が可能な航空券若しくは送還先までの航空券購入が可能な金額の所持金が不可欠です

 

   日本での在留が特別に認められるか否かは、違反調査、違反審査、口頭審理を経て、最終的に法務大臣の裁決により決定されます。 日本での在留を希望する場合には、その理由によって提出していただく資料なども異なってきますので、まずはお近くの地方入管局に当該外国人が出頭した上で十分な説明を受けるようにしてください。

 

平成25年退去強制の実態(入管局による)

1.平成25年中に出入国管理及び難民認定法違反により退去強制手続を執った外国人

  は、11,428人です(前年比3,750人減。)。
2 全国で実施した摘発の箇所数は、3,841ヶ所です(前年比2,045ヶ所減。)。
3 退去強制手続を執った外国人のうち、不法残留者は8,713人,不法入国者は 

  1,128です。 また、不法入国者のうち、航空機を利用して入国した者は824人 

  船舶を利用して入国した者が304人です。
4 出国命令制度の対象となった不法残留者は2,479人です。
5 退去強制手続を執った外国人の国籍・地域は100ヶ国・地域であり、11年続けて

  中国(香港・その他を除く。)が最も多く、4,044人で全体の35.4%を占めてい

  ます。
6 退去強制手続を執った外国人のうち、不法就労事実が認められた者は7,038人で   

  全体の61.6%を占めています。 不法就労の稼働場所別では、関東地区が4,685

  人で、不法就労事実が認められた者全体に占める割合は66.6%、次いで、中部地

  区が1,410人で、同20.0%です。

 

 

退去強制・出国命令Q&A

Q1 在留期限を超えて不法残留していますが、入管局に出頭して今後も引き続き日本での生活を求める手続を行っていますので、法律的には何の問題も無くなったのでしょうか?

A1

出頭申告された方の中には「入管局に不法残留等を申告したので、法律的には何の問題もなくなった。 法違反の状態は解消された。」と誤解される方が多いようです。 入管局に外国人の方が出頭申告しても、直ちに不法残留等の状態が解消されたわけではなく、法務大臣から特別に在留が認められない限り、入管法に違反している状態に変わりはないということです。 したがって,法務大臣の判断がくだされるまでは、原則的には、就労も認められていませんので、働いている工場や会社などで入管法違反により摘発されることもあります。

 Q2

日本から退去強制された者や出国命令を受けて出国した者が、再び日本に入国することは可能ですか?
A2    日本から不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者は、入管法の規定に基づき、原則として、一定期間(これを上陸拒否期間と言います。)日本に上陸することはできません。 具体的には以下のとおりです。
  ①    いわゆるリピーター(過去に日本から退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがある者)の上陸拒否期間は、退去強制された日から10年
  ②    退去強制された者(①の場合を除く)の上陸拒否期間は、退去強制された日から5年
  ③    出国命令により出国した者の上陸拒否期間は、出国した日から1年
   また、日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬、大麻、あへん、覚せい剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、上陸拒否期間に定めはなく、日本に上陸することができません。
Q3    入管局に出頭する場合には、どのようなものを準備すればよいですか?
A3    出頭する場合には、旅券を持参してください。旅券を紛失するなどして所持していない方は、身分を明らかにする証明書があれば持参してください。帰国を希望する場合は、原則として有効な旅券を持参してください。また、旅券のほかに、帰国のための航空券や旅行代理店が発行した航空券予約確認書が必要となりますが、不法残留等の状態や他の法令に違反している場合には、調査日数に時間を要し、事前に準備していただいた航空券が使用できなくなることも考えられますので、まずは、お近くの入管局に出頭した上で、お問い合わせください。
出国命令)
Q4 「出国命令制度」とは、どのようなものでしょうか?
A4    出国命令制度は、入管法違反者のうち、一定の要件を満たす不法残留者について、身柄を収容しないまま簡易な手続により出国させる制度です。
   出国命令の対象者については入管法第24条の3に規定されていますが、具体的には次のいずれにも該当する不法残留者です。
  ①    速やかに日本から出国する意思をもち自ら入国管理官署に出頭したこと
  ②

   不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと

 

  ③    入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと
  ④    過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
  ⑤    速やかに日本から出国することが確実と見込まれること
Q5 「出国命令制度」の適用を受けることを希望する場合は、どこに出頭すればよいのですか?
A5    出頭者に対する違反調査は、原則として8か所の地方入国管理局(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)、3か所の地方入国管理局支局(横浜、神戸、那覇)及び1か所の出張所(鹿児島)で行いますので、これらの地方入国管理局等に出頭してください。 
   なお、上記以外の最寄りの入国管理官署に平日の執務時間内に出頭された場合、当該官署においては、出頭者に対して出頭確認書を交付し、上記の違反調査を実施する地方入国管理局等への出頭日時と出頭場所を指示します。
Q6 出国を希望する空港にある入国管理局に出頭しても良いのでしょうか?
A6    空港にある入国管理局に出頭された場合でも出頭確認書は交付しますが、違反調査等にある程度の時間を要しますので、原則として出頭した当日に出国することはできません。そのため、出国命令を受けて出国したい方は、あらかじめ8か所の地方入国管理局(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)、3か所の地方入国管理局支局(横浜、神戸、那覇)又は1か所の出張所(鹿児島)において所定の手続を済ますようにしてください。
Q7 出頭してから、出国命令を受けるまでには、おおむねどのくらいの時間がかかると考えたらよいでしょうか?
A7    出頭された方の状況(パスポートの所持の有無など)にもよりますが、地方入国管理局等に出頭してから出国命令書の交付を受けて出国するまでは概ね2週間程度の日数を要するものと考えられますので、帰国用の航空券等を予約する際には注意してください。
Q8 過去に退去強制歴のない外国人が、不法残留容疑で摘発された場合、「出国命令制度」の適用を受けることができるのでしょうか?
A8    出国命令の対象者は自ら入国管理官署に出頭した者に限られますので、入国管理局によって摘発された不法残留者は出国命令の対象とはなりません。
Q9 偽造パスポートを使って入国し、不法滞在していた外国人が自主的に入管局に出頭した場合、「出国命令制度」の適用を受けることができるでしょうか?
A9    偽造パスポートを使って日本に入国することは不法入国に当たりますので、お尋ねのようなケースについては、出国命令の対象とはならず、不法入国容疑により退去強制手続を執ることになります。
Q10 出国命令を受けて一度出国した外国人が、上陸拒否期間経過後、日本に入国し、再度不法残留状態になった場合、その外国人は、出頭すれば、再度出国命令を受けることができるのでしょうか?
A10    出国命令の対象者は、過去に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがない者に限られますので、過去に出国命令を受けて出国したことがある不法残留者は出国命令の対象とはなりません。
(面会・差入れ)
Q11    面会の受付は何時から何時までですか?
A11    面会の受付時間は、土曜日、日曜日及び休日を除く、平日の午前9時から12時まで及び午後1時から3時までの間となっていますが、収容施設の状況によっては、受付時間が一部異なっている場合もありますので、訪問される前に、収容先の処遇の担当官にご確認ください。
Q12    面会や差入れをする際に用意しておくものはありますか?
A12    面会や差入れを行う方の身分を確認させていただいておりますので、日本人の方の場合には、自動車運転免許証、旅券、社員証、その他の写真が貼付してあるような身分証明書、外国人の方の場合には、在留カード、特別永住者証明書又は旅券その他身分を証明する文書をご用意ください。
Q13    面会は1日に何回でもできるのですか?
A13    面会を希望される方が多くなっておりますところ、限られた時間内に多くの方々に面会していただけるように、原則として、1日に1回だけです。
Q14    面会はどのくらいの時間できますか?
A14    面会時間については、1回当たり30分以内ですが、面会希望者が集中し特に多いときなどには、全員が面会できるよう面会時間を短縮して実施させてすることもあります。
Q15    電話で被収容者と会話することはできますか?
A15    被収容者への外部からの電話の取り次ぎは行っておりませんので、来訪して面会するか又は書信をご利用願います。なお、一部の収容施設では、時間帯によっては被収容者が外部へ電話することが可能です。
 
Q16    個人名を言えば収容しているかどうか教えてもらえますか?
A16    電話による収容事実の有無に係る問い合わせについては、原則として、プライバシーの保護等のためにお答えしておりませんので、あらかじめご承知おきください。
Q17    差入れを行いたいと考えていますが、差入れができないものとしてはどのようなものがありますか?
A17    一般的に、火を使って加熱調理する必要があるものや常温保存ができず腐食しやすい食品などについては、保安上及び衛生上の観点から差し入れをお断りしているものもありますので、詳細については、収容先の処遇の担当官にご確認ください。
Q18    帰国用の航空券の差入れはできますか?
A18    退去強制手続の進ちょく状況によっては、せっかく差し入れられた航空券を使用できないこともありますので、帰国用の航空券の差入れを行おうとされる場合には、あらかじめ、収容先の担当官にご確認ください。
Q19    荷物はいくつまで差入れることができますか?
A19    航空機に搭乗する際に機内に持ち込める荷物については、多くの航空会社が手荷物1個程度と機内預け荷物20kgまでとされており、これを超える荷物については超過料金が掛かることや本人自身が持ち運べる量や重さを考慮した上で、スーツケース1個程度にまとめて差入れてください。
(送還)
Q20    退去強制令書が発付されている人を収容する理由は何ですか?
A20    入国警備官は、退去強制令書が発付された場合には、被退去強制者を速やかに送還先に送還しなければなりませんが、直ちに送還できないときは、その者を送還可能なときまで収容することができるとされています。
     収容する理由は、送還可能なときまで確実にその身柄を確保するとともに、我が国における在留を否定された者の在留活動を禁止する必要があるためです。
Q21    有効な旅券を所持していない被収容者については、どうするのですか?
A21    被収容者本人からの申出に基づき、収容されている入国者収容所又は地方入国管理官署の職員が、我が国にある国籍国の外国公館へ旅券発給申請を取り次ぐことになります。
Q22    旅券の発給申請にはどのような書類が必要ですか?また、発給までに要する期間はどのくらいですか?
A22    旅券の発給申請に必要な書類は発給国の手続により異なります。また、旅券が発給されるまでに必要な期間についても一様ではありません。
Q23    自費で出国する場合には、帰国用航空券の購入や帰国便の予約は自由にできますか?
A23    航空券の種類によっては予約等の変更ができないものがあり、退去強制手続の進ちょく状況によっては、せっかく準備した航空券を使用できないこととなる場合もありますので、帰国用航空券を準備しようと考えている方は、あらかじめ、入管局の担当官にご確認ください。
Q24    仮放免許可を受けて自費出国することになりましたが、出国予定便に乗り遅れてしまいました。どうしたらいいですか?
A24    自費出国許可を受けた方が、搭乗予定便には乗り遅れたものの、出国予定空港に到着している場合は、空港内にある入国管理官署に出頭し、その後の対応についての具体的な指示を受けてください。
     自費出国許可を受けた方が急病等のため、出国予定便に搭乗することができないことが明らかになった場合は、自費出国許可を受けた地方入国管理官署へ連絡を行った上で、対応についての具体的な指示を受けてください。
(仮放免)
Q25    仮放免許可の基準はありますか?
A25    仮放免申請の許否についての基準はありません。
     仮放免の申請があった場合には、入国者収容所長又は主任審査官が、収容されている方の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びに収容されている方の性格、資産等を考慮して総合的に判断し、身柄の拘束をいったん解く必要があると認められたときに、仮放免を許可することとなります。

   〔仮放免許否判断に係る考慮事項についてはこちら〕
Q26    仮放免に付される条件にはどのようなものがありますか?
A26    住居の指定、行動範囲、出頭の義務、仮放免の期間のほか、仮放免許可を受ける方の事情に応じた条件が付されます。
Q27    仮放免の保証金の額は、どのように決定されるのですか?
A27    保証金の額は、入管法第54条に「300万円を超えない範囲で定める額」と規定されておりますところ、入国者収容所長又は主任審査官は、保証金を納付する方の資力と仮放免される方の出頭を確保するための担保措置として十分かどうかという点を判断し、保証金額を決定しています。
Q28    仮放免中に指定された行動範囲外の場所へ出かける必要が生じた場合は、どうすればいいのですか
A28    仮放免許可書に記載された行動範囲外の場所へ出かける必要が生じた場合には、事前に、指定された住居地を管轄する地方入国管理官署の主任審査官に対し、一時旅行許可の申出を行ってください。
     申請に当たっては、身元保証人と連名による一時旅行許可申請書のほかに、旅行の目的、必要性、旅行に要する期間等を明らかした書類を提出しなければなりません。
     なお、詳細については、指定された住居地を管轄する地方入国管理官署へお尋ねください。
Q29    仮放免中に働くことはできますか?
A29    退去強制令書が発付されている方については、我が国における在留が認められず退去強制されることとなったものであり、送還までの身柄の確保と我が国における在留活動を禁止する必要から、入国者収容所又は地方入国管理官署の収容場に収容しているものです。仮放免許可により身柄の拘束が一時的に解かれた場合であっても、退去強制令書が発付されていることに変わりはありませんので、稼働することはできません。
(在留特別許可)
Q30    在留特別許可の基準は何ですか?
A30    在留特別許可に基準はありません。
     在留特別許可は、入管法第24条のいずれかに該当し、本来、我が国から退去される外国人に対して、法務大臣が特別に在留を許可するものですが、その人が在留を希望する理由、どのような違反をしたか(違反の態様)、素行、家族状況や生活状況はどうか、また、国内外の情勢、さらには許可・不許可にした場合に他に与える影響はどうかなど、諸般の事情を総合的に判断して決められます。
     なお、退去強制は、入管法第24条等に定める退去強制事由のいずれかに該当した場合に限って受ける処分であり、退去強制事由は、不法入国、不法残留、あるいは法令違反で有罪判決を受けたり、懲役又は禁錮1年を超える刑に処せられた人など、いずれも日本社会にとって好ましくない人が対象となっています。
Q31    日本人と結婚すれば必ず在留特別許可になるのですか?
A31    必ずしも許可になるとは限りません。
     在留特別許可は、本来であれば退去強制されるべき人に対して特別に本邦での在留を認めるものですが、日本人と結婚していれば必ず在留特別許可になるものではありません。 日本人との婚姻の実態があるかのかどうか、素行、生活状況等他の事情も総合的に判断してその許否の決定がなされます。
Q32    子どもがいれば必ず在留特別許可になりますか?
A32    これも必ずしも許可になるとは限りません。
     日本社会において、日本人と婚姻し、継続的・安定的な家庭を築いているとか、日本人と血縁関係のある子どもがいるということは考慮される事情とはなり得ますが、養育されている実態があるのかどうか、素行、生活状況など他の事情も総合的に判断してその許否の決定がなされます。
Q33    在留特別許可の申請から許可まではどれくらいかかりますか?
A33    在留特別許可は「申請」を行って許可されるというものではありません。
     在留特別許可は、一連の退去強制手続(入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、特別審理官の口頭審理)を経て、法務大臣が本来退去強制されるべき人であっても、本人が我が国での在留を希望する場合に、諸般の事情を総合的に考慮・判断されるものです。
     現在、在留特別許可を求める人の数が急増していることに加えて、一つ一つのケースがそれぞれ異なっており、慎重に調査を必要とするものや、家族状況などを見極める必要のあるものなどもあり、結果が出るまでの期間について一概に申し上げることはできません。
Q34    強制送還とは非人道的な取扱いなのではないですか?
A34    我が国には、平成24年1月1日現在で約7万人の不法滞在者が在留しております。これらの人々の大部分は、不法入国や不法残留が法違反であることを承知の上で滞在しているものであり、治安の悪化を招くなど我が国においても大きな社会問題となっております。   退去強制(強制送還)は、出入国の公正な管理を図るための措置として、我が国の社会にとって好ましくないと認められる一定の外国人を所定の手続に従って国外に退去させるもので、非人道的な取扱いに当たるものではありません。   また、社会にとって好ましくないと認められ、強制的にも我が国から退去させるべき外国人はその事由別に法律上に列挙され、退去強制手続に関して、特に慎重な手続が定められています。

 

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