「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が行政書士業務である国籍取得・国籍離脱につき解説いたします、ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送付下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。
日本国籍を取得する原因には、出生、届出、帰化の3つがあります。
1.出生(国籍法第2条)
1)出生の時に父または母が日本国民であるとき
2)出生前に死亡した父が死亡時に日本国民であったとき
3)日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき
日本人夫婦の子が外国で生まれた場合であっても、出生によって日本国籍を
取得します。 しかし、外国で生まれた子が、出生によって日本国籍と同時に
外国の国籍も取得したときは、出生の日から3ヶ月以内に、出生の届とともに
日本国籍を留保する意思表示(出生届の国籍留保する欄に署名捺印)をしなけ
れば、その子は、出生の時に遡って日本国籍を失うとされています(国籍法第
12条、戸籍法第104条)。
日本国籍を留保しなかったことによって日本国籍を喪失した子は、次の2要
件を満たしている場合には、法務大臣に届出によって、再取得できます。
1)届出の時に20歳未満であること
2)日本に住所を有すること(生活の本拠が日本にあることを言います)
届出による国籍の取得とは、一定の要件を満たす方が、法務大臣に対して届出
ることによって、日本国籍を取得するという制度です。 平成20年に国籍法が改
正されました。
1)出生後認知された子の国籍の取得
届出添付書類は、A)認知した父又は母の出生時からの戸籍及び除籍謄本又
は全部事項証明書 B)国籍を取得する者の出生証明書 C)認知の経緯等を記
載した父母の申述書 D)母が懐胎した時期に係る父母の渡航履歴を証する書
面 E)その他親子関係を認めるに足る資料
但し、認知の裁判が確定しているときは、A)とB)のみで良しとなってます。
2)国籍の留保をしなかった方の国籍の取得
3)その他の場合の国籍の取得
届出方法は、本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら届出先
に出向き、国籍取得要件を備えていることを証する書類を添付し、書面によって
届出る必要があります。
届出先は住居地を管轄する法務局・地方法務局(日本に住所を有する方)
または、日本国大使館・領事館(外国に住所を有する方)となります。
3.帰化(国籍法第4条から第9条まで)
帰化とは、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対し、法務大臣
の許可によって、日本国籍を与える制度です。
日本国籍離脱(国籍法第13条)
日本国籍を有する方が、法務大臣に対し、日本国籍離脱する旨の届出をした場
合には、自動的に日本国籍を失います。 日本国籍の離脱の効果は、離脱者本人
のみに生じ、その配偶者や子などの親族には及びません。 また、日本国籍離脱
の届出をした方は、離脱要件を備え、かつ、届出が適法な手続きによるものであ
る限り、その届出の時に日本国籍を離脱したことになります。 届出方法、届出
先は上記の日本国籍取得届出と同じです。
日本国籍喪失
1.外国の法令による外国国籍の選択(国籍法第11条第2項)
外国が、日本と同様な国籍選択制度を有している場合に、その外国の法令従
ってその国に国籍を選択した時は、当然に日本国籍を喪失します。
2.自己の志望による外国国籍の取得(国籍法第11条第1項)
自分の意思で外国国籍を取得した場合、例えば、外国に帰化した場合等には
自動的に日本国籍を失います。
3.日本国籍の不留保(国籍法第12条)
外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得し子は
出生届ともに日本国籍を留保する旨を届出なければ、その出生の時に遡って日
本国籍を失います。
国籍の取得・離脱のQ&A
Q1:国籍とは、何ですか?
A1:国籍とは、人が特定の国の構成員であるための資格をいいます。 国家が存立
するためには、領土とともに、国民の存在が不可欠ですから、国籍という概念
は、どこの国にもあります。 しかし、どの範囲の者をその国の国民として認
めるかは、その国の歴史、伝統、政治・経済情勢等によって異なり、それぞれ
の国が自ら決定することができます。 このことから、国は、ある個人が他の
国の国籍を有するかどうかまでは、決めることができません。 我が国におい
ては、国籍法(昭和25年法律第147号)において、日本国籍の取得及び喪失の
原因を定めています。
Q2:国籍に関する手続は、どこで行うのですか?
A2:日本国籍の取得及び喪失に関する具体的な手続や相談は、以下で取り扱ってい
ます。
1.国籍取得及び国籍離脱の届出
(1) 日本に住所を有する方
住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2) 外国に住所を有する方
日本の大使館又は領事館
住所地を管轄する法務局・地方法務局
Q3:日本国籍の取得原因には、どのようなものがありますか?
A3:日本国籍を取得する原因には、出生、届出、帰化の3つがあります。
(1) 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
出生(国籍法第2条)) 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であっ
たとき) 日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき
(2) 届出(国籍法第3条、第17条)
届出による国籍の取得とは、一定の要件を満たす方が、法務大臣に対して
届け出ることによって、日本国籍を取得するという制度です。
(3) 帰化(国籍法第4条から第9条まで)
帰化とは、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法
務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度です。
Q4:出生により日本国籍を取得するのは、どのような場合ですか?
A4:子が出生により日本国籍を取得するのは、次の3つの場合です(国籍法第2
条)。
1 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
2 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
3 日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき ここでいう
「父」又は「母」とは、子の出生の時に、子と法律上の親子関係がある父
又は母をいいます。また、この法律上の親子関係は、子が生まれた時に確
定していなければなりません。 したがって、婚姻をしていない日本人父
と外国人母との間に生まれた子については、母の胎内にいる間に日本人父
から認知されている場合(胎児認知)には、出生によって日本国籍を取得
しますが、出産後に日本人父が認知した場合には、出生の時に法律上の親
子関係があったことにはなりませんので、原則として、出生によっては日
本国籍を取得しません。 しかし、このような子が、父から認知された場
合については、一定の要件を満たしていれば、法務大臣へ届け出ることに
よって日本国籍を取得することができます(Q6参照)
Q5:外国で生まれた日本人夫婦間の子の国籍は、どうなりますか?
A5:日本人夫婦の子が外国で生まれた場合であっても、出生によって日本国籍を取
得します。 しかし、外国で生まれた子が、出生によって日本国籍と同時に外
国の国籍も取得したときは、出生の日から3か月以内に、出生の届出とともに
日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ、その子は、出
生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条、戸
籍法第104条)。 子が外国で生まれた場合には、日本国籍と同時に外国の国
籍を取得する可能性があります。 この場合、子が引き続き日本国籍を有する
ためには、国籍留保の届出が必要となりますので、注意ください。 なお、日
本国籍を留保する意思表示をしなかったことによって日本国籍を喪失した子に
ついては、一定の要件を満たしていれば、法務大臣へ届け出ることによって日
本国籍を再取得することができます(Q6参照)
届出によって日本国籍を取得することができるのは、次の場合です。
なお、日本国籍の取得の届出をした方は、取得の要件を備え、かつ、届出が適
法な手続によるものである限り、その届出の時に日本国籍を取得したことにな
ります(国籍法第3条第2項、第17条第3項)。
(1) 認知された子の国籍の取得 (2) 国籍の留保をしなかった方の国籍の再取
得 (3) その他の場合の国籍の取得
Q6:届出によって日本国籍を取得できるのは、どのような場合ですか?
A6:届出によって日本国籍を取得することができるのは、次の場合です。
なお、日本国籍の取得の届出をした方は、取得の要件を備え、かつ、届出が適
法な手続によるものである限り、その届出の時に日本国籍を取得したことにな
ります(国籍法第3条第2項、第17条第3項)。
1 認知された子の国籍の取得(国籍法第3条)
日本人父と外国人母との婚姻前に生まれた子は、原則として、父から胎児
認知されている場合を除き、出生によって日本国籍を取得することはあり
ません。 しかし、出生後に、父から認知された場合で、次の要件を満た
している場合には、法務大臣に届け出ることによって、日本国籍を取得す
ることができます。) 届出の時に20歳未満であること。 (2) 認知をした
父が子の出生の時に日本国民であること。 (3) 認知をした父が届出の時
に日本国民であること。(認知をした父が死亡しているときは、その死亡
の時に日本国民であったこと。)
2 国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得(国籍法第17条第1項)
外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した
子は、出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ、その出生
の時にさかのぼって日本国籍を失います。 しかし、日本国籍を留保しな
かったことによって日本国籍を喪失した子は、次の要件を満たしている場
合には、法務大臣に届け出ることによって、日本国籍を再取得することが
できます。 (1) 届出の時に20歳未満であること。 (2) 日本に住所を有
すること。 「日本に住所を有すること」とは、届出の時に、生活の本拠
が日本にあることをいいます(観光、親族訪問等で一時的に日本に滞在し
ている場合等には、日本に住所があるとは認められません。)。
3 その他の場合の国籍の取得
上記1及び2のほかに、官報催告によって国籍を喪失した方の再取得(国
籍法第17条第2項)等があります。(注)上記に該当しない方が日本国籍
を取得するには、帰化の方法によることとなります。
Q7:届出による国籍取得は、どのような手続が必要ですか?
A7:1 届出方法
本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら届出先に出向
き、国籍取得の要件を備えていることを証する書類を添付し、書面によっ
て届け出ることが必要です。 添付書類等の詳しい手続は、届出先となる
法務局・地方法務局又は日本の大使館又は領事館にご相談ください。
2 届出先
(1) 日本に住所を有する方
住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2) 外国に住所を有する方
日本の大使館又は領事館(注)国籍の留保をしなかった方の国籍の再
取得の届出については、日本に住所を有することが条件とされていま
すので、法務局・地方法務局が届出先となります。
Q8:帰化とは、何ですか?
A8:帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する
旨の意思表示に対して、国家が許可を与えることによって、その国の国籍を与
える制度です。 日本では、帰化の許可は、法務大臣の権限とされています
(国籍法第4条)。 法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告
示されます。帰化は、その告示の日から効力を生ずることとなります(国籍法
第10条)。
Q9:帰化の条件には、どのようなものがありますか?
A9:帰化の一般的な条件には、次のようなものがあります(国籍法第5条)。
また、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限り
ません。 これらは、日本に帰化するための最低限の条件を定めたものです
1 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要
です。 なお、住所は、適法なものでなければなりませんので、正当な在
留資格を有していなければなりません。
2 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が20歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達し
ていることが必要です。
3 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴
の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通
常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。
4 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)生活に困るようなことがなく、日
本で暮らしていけることが必要です。 この条件は生計を一つにする親族
単位で判断されますので、申請者自身に収入がな sp; くても、配偶者やそ
の他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、
この条件を満たすこととなります。
5 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれま
での国籍を喪失することが必要です。 なお、例外として、本人の意思に
よってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件
を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2
項)。
6 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるい
はそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可され
ません。 なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、
日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)
については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から
第8条まで)。
Q10: 帰化には、どのような手続が必要ですか?
A10: 1 帰化許可申請の方法
本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら申請先に出向
き、書面によって申請することが必要です。その際には、帰化に必要な条
件を備えていることを証する書類を添付するとともに、帰化が許可された
場合には、その方について戸籍を創設することになりますので、申請者の
身分関係を証する書類も併せて提出する必要があります。 帰化申請に必
要となる主な書類については、Q11をご覧ください。
2 申請先
住所地を管轄する法務局・地方法務局
Q11:帰化許可申請に必要な書類には、どのようなものがありますか?
A11: 帰化許可申請に必要となる主な書類は、次のとおりです。
1 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
2 親族の概要を記載した書類
3 帰化の動機書
4 履歴書
5 生計の概要を記載した書類
6 事業の概要を記載した書類
7 住民票の写し
8 国籍を証明する書類
9 親族関係を証明する書類
10 納税を証明する書類
11 収入を証明する書類
12 在留歴を証する書類
国籍を証する書面及び身分関係を証する書面については、原則として本国官憲
が発給したものを提出する必要があります。 なお、申請者の国籍や身分関
係、職業などによって必要な書類が異なりますので、申請に当たっては、法務
局・地方法務局にご相談ください。
Q12 日本国籍を喪失するのは、どのような場合ですか?
A12 日本国籍を喪失するのは、次のような場合です。
1 自己の志望による外国国籍の取得(国籍法第11条第1項)
自分の意思で外国国籍を取得した場合、例えば、外国に帰化をした場合等
には、自動的に日本国籍を失います。
2 外国の法令による外国国籍の選択(国籍法第11条第2項)
日本と外国の国籍を有する方が、外国の法令に従ってその外国の国籍を選
択した場合には、自動的に日本国籍を失います。
3 日本国籍の離脱(国籍法第13条)
日本と外国の国籍を有する方が、法務大臣に対し、日本国籍を離脱する旨
の届出をした場合には、日本国籍を失います(Q13参照)。
4 日本国籍の不留保(国籍法第12条)
外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した
子は、出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ、その出生
の時にさかのぼって日本国籍を失います(Q14参照)。 なお、日本国籍
の留保をしなかったことにより日本国籍を失った方については、20歳未満
であって日本に住所を有するときは、法務大臣へ届け出ることによって、
日本国籍を再取得することができます(Q6参照)。
5 その他(国籍法第15条、第16条)
Q13:日本国籍の離脱には、どのような手続が必要ですか?
A13:1 届出方法 本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら届
出先に出向き、国籍離脱の要件を備えていることを証する書類を添付し、
書面によって届け出ることが必要です。 添付書類等の詳しい手続は、
届出先となる法務局・地方法務局又は国の在外公館にご相談ください。
2 届出先 (1) 日本に住所を有する方 住所地を管轄する法務局・地方法
務局 (2) 外国に住所を有する方 我が国の在外公館 (注)日本国籍の
離脱の効果は,離脱者本人のみに生じ、その配偶者や子などの親族には及
びません。 また、日本国籍の離脱の届出をした方は、離脱の要件を備
え、かつ、届出が適法な手続によるものである限り、その届出の時に日本
国籍を離脱したことになります(国籍法第13条第2項)。
Q14:国籍の留保とは、何ですか?
A14:外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した
子は、一定の期間内に、日本国籍を留保する意思表示をしなければ、その
出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第
12条、戸籍法第104条)。 子の日本国籍を失わせないためには、以下
の手続により、国籍の留保の届出をする必要があります。
1 届出方法
父又は母や、その他の法定代理人が、子の出生の日から3か月以内に出生
の届出とともに日本国籍を留保する旨の届出をする必要があります。 具
体的には、出生届の用紙中に、「日本国籍を留保する」旨の記載をするこ
ととなります。
2 届出先
我が国の在外公館又は市区町村役場 なお、日本国籍の留保をしなかった
ことにより日本国籍を失った方については、20歳未満であって日本に住
所を有するときは、法務大臣へ届け出ることによって、日本国籍を再取得
することができます(Q6参照)。
Q15:国籍の選択とは、どのような制度ですか?
外国で生まれた方や、父又は母が外国人である方は、日本国籍のほかに外
国国籍も有する重国籍者である可能性があります。 国籍の選択とは、
重国籍者に、所定の期限までに、自己の意思に基づいて、日本か外国のい
ずれかの国籍を選んでいただくという制度です。 国籍を選択する必要
があるのは、重国籍者が2つ以上の国家に所属することから、a.それぞれ
の国の外交保護権が衝突することにより国際的摩擦が生じるおそれがあ
る、b.それぞれの国において別人として登録されるため、各国において別
人と婚姻するなど、身分関係に混乱が生じるおそれがある、等のためで
す。 重国籍者は、重国籍となっ時が20歳未満であるときは22歳に達す
るまでに、重国籍となった時が20歳以上であるときはその時から2年以
内に、いずれかの国籍を選択しなければなりません。 この期限内に国
籍の選択をしないでいると、法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合に
よっては日本国籍を失うことがあります。
Q16 :国籍の選択は、どのような方法で行うのですか?
A16:国籍選択について 国籍の選択の方法は、次のとおりです。
1 外国国籍を選択する方法
(1) 日本国籍の離脱(国籍法第13条)
日本と外国との重国籍者は、法務大臣に届け出ることによって、日本
国籍を離脱することができます。
(2) 外国の法令による外国国籍の選択(国籍法第11条第2項)
外国が、日本と同様な国籍選択制度を有している場合に、その外国の
法令に従ってその国の国籍を選択したときは、当然に日本国籍を喪失
します。
2 日本国籍を選択する方法
(1) 外国国籍の離脱(国籍法第14条第2項前段)
その外国の法令に基づいてその国の国籍を離脱すれば、重国籍は解消
されます。
(2) 日本国籍の選択宣言(国籍法第14条第2項後段)
市区町村役場又は我が国の在外公館に、「日本の国籍を選択し、か
つ、外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をすることによって行い
ます。
(注)外国国籍の離脱の手続、外国の法令による外国国籍の選択の手続
については、その国の政府機関に相談してください。 なお、外国国
籍を離脱した場合には「外国国籍喪失届」を、外国の法令により外国
国籍を選択した場合には「国籍喪失届」を、市区町村役場又は我が国
の在外公館に提出してください(戸籍法第106条、第103条)。
【参考】
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
第八条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
第九条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。
第十条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法 の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。
第十五条 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。
第十七条 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 第十五条第二項の規定による催告を受けて同条第三項の規定により日本の国籍を失つた者は、第五条第一項第五号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失つたことを知つた時から一年以内に法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から一月とする。
3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
第十八条 第三条第一項若しくは前条第一項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可の申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出は、国籍の取得、選択又は離脱をしようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。
第十九条 この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。
第二十条 第三条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二条 の例に従う。
附 則 抄
1 この法律は、昭和二十五年七月一日から施行する。
2 国籍法(明治三十二年法律第六十六号)は、廃止する。
5 この法律の施行前日本に帰化した者の子で従前の国籍法第十五条第一項の規定によつて日本の国籍を取得したものは、第六条第四号の規定の適用については、日本に帰化した者とみなす。この法律の施行前日本国民の養子又は入夫となつた者も、また、同様である。
附 則 (昭和二七年七月三一日法律第二六八号) 抄
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
附 則 (昭和五九年五月二五日法律第四五号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十年一月一日から施行する。
(帰化及び国籍離脱に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に帰化の許可の申請又は国籍離脱の届出をした者の帰化又は国籍の離脱については、なお従前の例による。
(国籍の選択に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に外国の国籍を有する日本国民は、第一条の規定による改正後の国籍法(以下「新国籍法」という。)第十四条第一項の規定の適用については、この法律の施行の時に外国及び日本の国籍を有することとなつたものとみなす。この場合において、その者は、同項に定める期限内に国籍の選択をしないときは、その期限が到来した時に同条第二項に規定する選択の宣言をしたものとみなす。
(国籍の再取得に関する経過措置)
第四条 新国籍法第十七条第一項の規定は、第一条の規定による改正前の国籍法第九条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものについても適用する。
(国籍の取得の特例)
第五条 昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項に規定する届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。
3 第一項に規定する届出をしようとする者が天災その他その責めに帰することができない事由によつて同項に定める期間内に届け出ることができないときは、その届出の期間は、これをすることができるに至つた時から三月とする。
4 第一項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
第六条 父又は母が前条第一項の規定により日本の国籍を取得したときは、子(日本国民であつた者を除く。)は、同項に定める期間内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、その父又は母が養親であるとき、又は出生の後に認知した者であるときは、この限りでない。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。
附 則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
第十四条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。
(政令への委任)
第十五条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (平成一六年一二月一日法律第一四七号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二〇年一二月一二日法律第八八号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(従前の届出をした者の国籍の取得に関する経過措置)
第二条 従前の届出(この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にこの法律による改正前の国籍法第三条第一項の規定によるものとしてされた同項に規定する父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子に該当しない父又は母が認知した子による日本の国籍の取得に係る届出の行為をいう。以下同じ。)をした者で、当該従前の届出の時においてこの法律による改正後の国籍法(附則第四条第一項において「新法」という。)第三条第一項の規定の適用があるとするならば同項に規定する要件(法務大臣に届け出ることを除く。附則第四条第一項において同じ。)に該当するものであったもの(日本国民であった者を除く。)は、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わってする。
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。ただし、平成十五年一月一日以後に従前の届出をしているときは、当該従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得する。
(平成二十年六月五日以後に従前の届出をした場合の特例)
第三条 平成二十年六月五日以後に従前の届出をした者については、法務大臣に対して反対の意思を表示した場合を除き、施行日に前条第一項の規定による届出をしたものとみなして、同項及び同条第三項ただし書の規定を適用する。
2 前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。
(従前の届出をした者以外の認知された子の国籍の取得に関する経過措置)
第四条 附則第二条第一項の規定によるもののほか、父又は母が認知した子で、平成十五年一月一日から施行日の前日までの間において新法第三条第一項の規定の適用があるとするならば同項に規定する要件に該当するものであったもの(日本国民であった者及び同項の規定による届出をすることができる者を除く。)は、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
(国籍を取得した者の子の国籍の取得に関する特例)
第五条 父又は母が附則第二条第一項の規定により日本の国籍を取得したとき(同条第三項ただし書の規定の適用がある場合を除く。)は、その父又は母がした従前の届出の時以後当該父又は母の日本の国籍の取得の時前に出生した子(日本国民であった者を除く。)は、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。ただし、その父又は母が養親であるとき、又は出生の後に認知した者であるときは、この限りでない。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
3 附則第二条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。
(届出の期間の特例)
第六条 附則第二条第一項、第四条第一項又は前条第一項の規定による届出をしようとする者が天災その他その責めに帰することができない事由によってこれらの規定に規定する期間内に届け出ることができないときは、その届出の期間は、これをすることができるに至った時から三月とする。
(国籍の選択に関する特例)
第七条 外国の国籍を有する者が附則第二条第一項の規定により日本の国籍を取得した場合(同条第三項ただし書の規定の適用がある場合に限る。)における国籍法第十四条第一項の規定の適用については、附則第二条第一項の規定による届出の時(附則第三条第一項の規定により当該届出をしたものとみなされる場合にあっては、施行日)に外国及び日本の国籍を有することとなったものとみなす。
(国籍取得の届出に関する特例)
第八条 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百二条の規定は、附則第二条第一項、第四条第一項又は第五条第一項の規定により日本の国籍を取得した場合の国籍取得の届出について準用する。この場合において、同法第百二条第一項中「その取得の日」とあるのは、「その取得の日(国籍法の一部を改正する法律(平成二十年法律第八十八号)附則第二条第三項ただし書の規定の適用がある場合にあつては、同条第一項の規定による届出の日(同法附則第三条第一項の規定により当該届出をしたものとみなされる場合にあつては、同法の施行の日))」と読み替えるものとする。
(国籍を取得した者の子に係る国籍の留保に関する特例)
第九条 父又は母が附則第二条第一項及び第三項ただし書の規定の適用により従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得したことによって当該父又は母の日本の国籍の取得の時以後同条第一項の規定による届出の時前に出生した子が国籍法第二条及び第十二条の規定の適用を受けることとなる場合における戸籍法第百四条の規定の適用については、同条第一項中「出生の日」とあるのは、「父又は母がした国籍法の一部を改正する法律(平成二十年法律第八十八号)附則第二条第一項の規定による届出の日(同法附則第三条第一項の規定により当該届出をしたものとみなされる場合にあつては、同法の施行の日)」とする。
(省令への委任)
第十条 附則第二条第一項、第四条第一項及び第五条第一項の規定による届出の手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。
(罰則)
第十一条 附則第二条第一項、第四条第一項又は第五条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
国籍法判例
判例① 最2小判平判例
韓国人女性(A) は、 平成元年、日本人男性(B) と婚姻したが、 平成2年に別居した。 Aは、、平成3年頃、 別の日本人男性(C) と知り合い、 平成4年9月○日にX (原告) を出産した。 同年4月○日にA・Bは協議離婚した。 4月○日にB・X間の親子関係不存在確認の調停が申し立てられ、平成5年4月○日に不存在確認に審判がなされた(6月2日に確定した)。 6月○日、
AはXの出生届を、CはXの認知届を提出したが、 出生届の本籍欄を「国籍韓国」と訂正され、 XはCの戸籍に入ることはできなかった。 同年月7日、XはY (国) を相手取って、 日本国籍の確認を求める訴えを提起した[以下、「事案(1)」という]。
1審判決(東京地判平6.9.民集巻9号) は、 「生来的な国籍取得は、出生時における親子関係に基づいて、できるかぎり確定的に決定されるべきである」との見地から、 認知に遡及効を認めず、「出生の時に父が日本人であったとはいえないので、 日本国籍を取得していない」と判断し、Xの請求を棄却した。 これに対し、 控訴審判決(東京高判平7行裁例)
は、「日本国籍を有しない母が婚姻中の場合には、実の父の胎児認知届出は受理されない取扱いであり、本来なら日本国籍を取得し得るはずの子であっても、生来的な国籍取得の道が閉ざされるのは、 胎児認知が許される場合と比較して不合理であり、「出生前の認知届はないが、嫡出が否定された時に接着した時(本来の出生届の期間内)
に新たな出生届と認知届があった場合に限って国籍法2条1号の要件を満たすと解しても、国籍が長期にわたって不確定なものとなる恐れもないといえる」として、 原判決を取り消し、原告の請求を認容した
Y上告
最高裁第2小法廷は、以下のように述べて、 上告を棄却した。 「戸籍の記載上嫡出の推定がされない場合には、胎児認知という手続を執ることにより、 子が生来的に日本国籍を取得するみちが開かれているのに、右推定がされる場合には、胎児認知という手続を適法に執ることができないため、子が生来的に日本国籍を取得する道がないとすると、 同じく外国人の母の嫡出でない子でありながら、戸籍の記載いかんにより、
子が生来的に日本国籍を取得する道に著しい差があることになるが、このような著しい差異を生ずるような解釈をすることに合理性があるとはいい難い。 したがって、できる限り右両者に同等のみちが開かれるように、
同法2条1項の規定を合理的に解釈適用するのが相当である。」「…客観的にみて、戸籍の記載上嫡出の推定がされなければ日本人である父により胎児認知がされたであろうと認めるべき特段の事情がある場合には、 右胎児認知がされた場合に準じて、国籍法2条1項の適用を認め、
子は生来的に日本国籍を取得すると解するのが相当である。 そして、生来的な日本国籍の取得はできる限り子の出生時に確定的に決定されることが望ましいことに照らせば、右の特段の事情があるというためには、母の夫と子との間の親子関係の不存在を確定するための法的手続が子の出生後遅滞なく執られた上、右不存在が確定されて認知の届出を適法にすることができるようになった後速やかに認知の届出がされることを要すると解すべきである。」
大西勝也裁判官の補足意見は、 国籍法2条1項の「『出生の時』の意義について、生理的意味における出生の時より広い時間的範囲を含むと解することが、やや文理に合致しないとのそしりは免れないにしても、国家の統一的意思を示す合理的解釈というべきであり、 本件は、国籍の浮動性防止の観点からしても,、前記の解釈が許容される範囲内にある事例というべきである」と述べるものである。
判例② 最2小判平判例
原告Xは、フィリピン人女性(A) と日本人男性(B) との間の子(婚外子) として出生し、 出生後にBにより認知された(Xは出生によりフィリピン国籍を有している。
因みに、原告には妹がいるが、 妹は胎児認知されていたため日本国籍を取得している。 しかし、 妹が生まれる前にA・Bは別居しており、 子どもの養育について交渉がなされた結果、Bが原告を認知して養育費を支払うことになったものである)。 Xは、「民法○条により認知の効力は出生時に遡及する。 国籍法上、認知の遡及効を認めないとする解釈は、
婚内子と婚外子、生後認知された婚外子と胎児認知された婚外子との間に不合理な差別をもたらすものであり、 憲法○条、国際人権規約B規約、児童の権利条約に違反する」として、 自身に国籍法2条1号の適用があると主張し、 国に対し、日本国籍の確認と、 国が日本国籍を認めないことによる慰謝料の支払いを求めて出訴した[以下「事案(2)」という]。
1審判決(大阪地判平成8.6判例) は、法改正の経緯や国籍法3条の存在を根拠に掲げ、
従来の見解に従って認知の遡及効を否定するとともに、国籍法上の国籍取得要件の規定の仕方については立法府の裁量を広く認めた上で、現行法の規定は憲法条との関係において裁量の範囲を逸脱するものではなく、国際条約上の規定も憲法○条を超えた利益を保護するものではない、と判示して、原告の請求を全面的に斥けた。
控訴審判決(大阪高判平成9判例) も、1審とおおむね同様の理由で控訴を棄却した。
Xが上告した。
最高裁第2小法廷も、以下のような判示により、Xの上告を棄却した。 「法2条1号は、日本国籍の生来的な取得についていわゆる父母両系血統主義を採用したものであるが、単なる人間の生物学的出自を示す血統を絶対視するものではなく、子の出生時に日本人の父又は母と法律上の親子関係があることをもって我が国と密接な関係があるとして国籍を付与しようとするものである。 そして、生来的な国籍の取得はできる限り、子の出生時に確定的に決定されることが望ましいところ、出生後に認知されるか否かは出生の時点では未確定であるから、法2条1号が、子が日本人の父から出生後に認知されたことにより出生時にさかのぼって法律上の父子関係があるとは認めず、
出生後の認知だけでは日本国籍の生来的な取得を認めないものとしていることには、 合理的根拠があるというべきである。
亀山継夫裁判官の補足意見は、国籍法3条が認知に加えて「父母の婚姻」を国籍取得の要件としたことが(胎児認知された婚外子は日本国籍を取得できることとの比較において) 合理性に疑問がある旨を記すものである。
梶谷玄・滝井繁男両裁判官の補足意見は、より明確に、国籍法3条が準正を婚外子の国籍取得の要件としたことは、「立法目的に照らし十分な合理性を持つものということは困難であり、 憲法条1項に反する疑いが極めて濃いと考える」と述べるものである 。
判例③ 最1小判平判例
韓国人女性(A) は、 平成2年1月に日本人男性(B) と婚姻し、翌平成3年2月に長女を出産したが、平成7年1月頃、Bと別居した。 長女の親権や養育問題について合意ができなかったので、離婚届を提出することはできなかった。 その後、AからBの所在を把握することが困難な状況になった(離婚届は平成9年9月日に提出された)。 ところで、Aは(離婚届提出前の)
平成7年5月頃、別の日本人男性(C) と知り合って交際を始め、Cとの間にX (原告) を懐胎し、平成9年9月1日[離婚届提出の翌日] にXを出産した。 Aは、平成9年10月1日にB・X間の親子関係不存在確認の訴えを提起し(Bに対して公示送達がされた)、 同年11月1日に不存在確認の審判が下され、12月5日に確定した。 CとXは、Y (国)
に対して、自身が日本国籍を有する旨の確認を求めて訴えを提起した。[以下「事案(3)」と記す]
1審判決(大阪地判平5年) は、最高裁が上記「(1) 判決」で示した要件について検討し、本事案においては「特段の事情」(
「客観的にみて、戸籍の記載上嫡出の推定がされなければ、日本人である父により胎児認知がされたであろうと認められること」)があると認めて、Xの請求を認容した。 ところが、控訴審判決(大阪高判平)は、B・X間の親子関係不存在確認のための手続が、Xの出生後遅滞なくとられたものということはできず、したがって「客観的にみて、上記の『特段の事情』があるとはいえない」として、1審判決を取り消した。
Xが上告した。
最高裁第1小法廷は、前掲「(1)
判決」の判旨を確認した上で、「一般的には、子の出生後8か月余を経過して親子関係の不存在を確認するための法的手続が執られたとしても、これが遅滞なくなされたものということは困難である」としながら、Aが帝王切開によりXを出産したのち自宅療養を続けていたこと、Bに対して連絡をとることのできない状態が続いていたこと、Bの所在を調査するなどのために約3ヶ月を要したことなどを挙げ、「これらの事情に照らせば、上告人の出生から上記訴えの提起までに約8か月余を要したのもやむを得ないというべきであり、本件においては、[B・X間の]
親子関係の不存在を確認するための法的手続が上告人の出生後遅滞なく執られたものと解するのが相当である」と認め、「客観的にみて、戸籍の記載上嫡出の推定がされなければ[C] により胎児認知がされたであろうと認めるべき特段の事情があるということができ[る]」と結論づけて、Xの請求を認容した。
なお、横尾和子裁判官の反対意見は、上述のような事情があったとしても、「いつまでも生来的な国籍取得の主張をすることができると解することは適当ではなく、出生後一定の期間経過後は、事情の如何を問わず、法的手続が遅滞なく執られたとはいえないと解すべきである」とした上で、本件については、「上告人の出生後遅滞なく法的手続が執られたものということはでき」ず、したがって、「原審の判断は、結論にお
いて正当であり、上告は棄却すべきものである」と述べるものである。
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