クーリングオフ

  「横浜のアオヤギ行政書士事務所」がクーリングオフについて解説致します、ご質問やお問い合せは下記のフォームに記載のうえメールにて送信して下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 クーリングオフとは

 自宅等に不意に訪問を受けて勧誘されるなど、自らの意思がはっきりしないままに契約してしまう場合に、契約後頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる特別な制度のことを言います。

 法律の根拠は無店舗販売を規定する「特定商取引に関する法律」や「割賦販売法」の他、個別の商品、販売方法、契約などの種類ごとに「特定商品等の預託等取引に関する法律」、「宅地建物取引業法」、「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」、「保険業法」等であります。

 

クーリングオフが出来る主な取引と期間

1.訪問販売(キャッチ、アポセール含む) 契約書面受領日から8日間

2.電話勧誘販売             契約書面受領日から20日間

3.マルチ商法(連鎖販売取引)      契約書面受領日から20日間

4.特定継続的役務提供 ⇓Q&A⇓      契約書面受領日から8日間

  対象となる役務6項目

  ①「エステティッ期間が1か月を超えて、料金が5万円を超えるもの

  ②「語学教育期間が2か月を超えて、金額が5万円を超えるもの

  ③「学習塾等」期間が2か月を超えて、金額が5万円を超えるもの

  ④「家庭教師等」期間が2か月を超えて、金額が5万円を超えるもの

  ⑤「パソコン教室等」期間が2か月を超えて、金額が5万円を超えるもの

  ⑥「結婚情報提供期間が2か月を超えて、金額が5万円を超えるもの

5.業務提供誘引販売取引(内職、モニター)契約書面受領日から20日間

6.預託取引契約(現物まがい商法)    契約書面受領日から14日間

7.ゴルフ会員権契約           契約書面受領日から8日間

8.保険契約(保険会社外での契約に限る) 契約書面受領日から8日間

 

クーリングオフが適用されない取引

1.消費者が自発的に店舗で買物した場合

2.通信販売(返品制度が設定されています) 

3.訪問販売、電話勧誘販売の適用除外品(乗用車、3000円以下の現金取引、消耗品

  を使用した場合、政令指定消耗品

4.訪問購入適用除外品(乗用車、書籍、CD、家具、有価証券、大物家電等)

 

クーリングオフの行使方法

1.「内容証明郵便」又は「電子内容証明郵便」で送達、文書の通信日付(確定日

  付)と文書の内容を郵便局が公的に証明してくれるので確実な証拠になります。

2.内容文書3通(2通は写可)作成し、集配を行っている郵便局から送達します。

3.内容証明郵便は字数、行数の制限があります、文房具店で市販の「内容証明

  郵便用紙」を使用するのがお勧めです。

4.クレジット契約を締結し、商品を購入した場合は、クレジット会社と販売会社に

  同様の通知を送ります。

 

クーリングオフの効果

 クーリングオフした場合、業者は違約金や損害賠償を消費者に請求出来ません。

また、業者が受け取っている金銭があれば、消費者に返還しなければなりません。   

 消費者が商品を使用したり、サービス(役務)を受けたことにより利益を得ている場合でも、業者はその利益の返還を請求することが出来ません。 さらに、消費者が商品を受け取っている場合には、その返還に要する費用は、業者が負担することになっています。 つまり、消費者には一切の負担がなく、契約を解除することが出来るようになっています。

 

 クーリングオフの起算日

 クーリングオフは、法律で定められた事項が書かれた契約書面(法定書面)を受け取った日を初日として計算します。 連鎖販売取引は、法定書面を受け取った日、もしくは商品を受け取った日の、いずれか早い方を初日とします。

 

 

特定継続的役務提供 Q&A 

具体的計算例(特定継続的役務の提供開始

①Q 美顔エステの20回分の契約を現金一括払い¥100,000で行なった。 契約期間は

         1年(1年以内に20回施術を受けられる)であり、契約書面には不備はないも  

   のとする。 契約してから3か月間で5回施術を受けたが、効果があまりないの

   で中途解約することにした。 エステサロンから最低どれだけの返金を受けられ

   るか?

①A「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」の計算

20回分が¥100,000なので、1回あたりは¥100,000/20=¥5,000。
今まで5回施術を受けたので、「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」=¥5,000×5=¥25,000

 「契約の解除によって通常生ずる損害の額」の計算

「契約残高」=「契約額」-「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」
=¥100,000-¥25,000=¥75,000
「契約残額の20%に相当する額」=¥75,000×10%=¥7,500
「契約の解除によって通常生ずる損害の額」は、¥20,000と「契約残額の10%に相当する額」のいずれか低い額なので、¥7,500となる。

  「損害賠償の上限額」の計算

「損害賠償の上限額」=「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」+「契約の解除によって通常生ずる損害の額」
 =¥25,000+¥7,500=¥32,500

  「最低返金額」の計算

「最低返金額」=「支払済みの金額」-「損害賠償額の上限額」
 =¥100,000-¥32,500=¥67,500

以上より、最低でも¥67,500は返金されることになる。(返金手数料の負担は事前の取り決めによる)

(補足)

この計算例では、理解しやすく誰が計算しても同じ答えになるように、入会金等の「初期費用」がないという例にしている。 「初期費用」がある場合は、その金額や性質等により「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」とできる合理性があるか否かが問題となる。(実際の契約では、「初期費用」があることが多い。) 例えば、極端な例を考えて、美顔エステで入会金¥80,000、20回分の施術費用が¥20,000(1回あたり¥1,000)とする。 この契約で、1回だけ施術を受けた場合に、入会金¥80,000全額を「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」に入れてしまうのは、明らかに不当であろう。 このような場合は、「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」である¥20,000が、目安的な金額と考えられる。

 

具体的計算例(特定継続的役務の提供開始

②Q   美顔エステの20回分の契約を現金一括払い¥100,000で行なった。 契約期間は 

   1年(1年以内に20回施術を受けられる)であり、契約書面には不備はないも

   のとする。 契約書面受領して2週間後、そのエステサロンの悪い噂を耳にした

   ので、辞めることにした。 施術は、今まで1回も受けていない。 エステサロン

   から最低どれだけの返金を受けられるか?

②A 「最低返金額」=「支払済みの金額」-「契約の締結及び履行のために通常要す 

   る費用の額」

 =¥100,000-¥20,000=¥80,000

   以上より、最低でも¥80,000は返金されることになる。

 

③Q 特定継続的役務提供の提供開始の中途解約の場合、「契約の締結及び履行の

   ために通常要する費用の額」はいくらか?

③A エステティックの場合、2万円

   語学教室の場合、1万5千円

   家庭教師等の場合、2万円

   学習塾等の場合、1万1千円

   パソコン教室等の場合、1万5千円

   結婚情報提供の場合、3万円