我国は、社会の高齢化が急速に進行しており、現在65歳以上の高齢者が3000万人弱で、今世紀半ばには4000万人となる超高齢社会が到来すると予測されています。 現在466万人の認知症患者が在り、かつ予備軍が500万人と言われています、85歳以上になると4人に1人以上が認知症を発症するという現状です。
認知症に罹患して、呆けてきますと、自分で財産管理や身上監護(介護サービスの利用契約、病院の入院契約等)が、当然のことですが、出来なくなります。
従って、自分が元気なうちに、信頼できる人に、自分の判断能力が低下したときに、自分に代わって財産管理や必要な契約締結等(身上監護)をお願いして、それを引き受けて貰う契約を任意後見契約と言います。
「横浜のアオヤギ行政書士事務所」は任意後見契約公正証書の起案から、任意後見人の受任を含めた業務をも得意としております。 任意後見契約につき詳しく、解説いたします、ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問は、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。
任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ信頼出来る代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。 そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督の基、本人を代理した契約等をすることによって、本人の意思に従って適切な保護・支援をすることが可能になります。
任意後見契約を締結するには:
任意後見契約に関する法律により、公正証書でしなければなりません。 その理由は本人の意思をしっかり確認しなければいけないし、また、契約の内容が法律に従ったものにしなければいけないので、公証人が作成する公正証書によることと定められています。
任意後見人の基本的な仕事:
一つは「財産管理」、すなわち自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払等です。 もう一つが、「介護や生活面の手配」です。要介護認定申請等に関する諸手続き、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続き、入院費用の支払い、生活費を届けたり、送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合に介護や生活面のバックアップをすることです。 なお、任意後見人の職務は、自分でおむつを替えたり、掃除をしたりという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をすることです。
任意後見人になれるのは:
成人であれば、だれでも、本人が信頼できる人を任意後見人にすることが出来ます。 但し、法律でふさわしくないと定めている事由のある者(破産者、本人に訴訟を提起したことがある者、不正な行為、著しい不行跡のある者、その他任意後見人の任務に適しない事由のある者、例えば金銭にルーズな人等)は駄目です。
任意後見人を複数にする場合は、各自が任意後見人としての権限を行使出来るとするか、共同してのみその権限を行使出来るとするか、どちらかに決めなければなりません。 そして、前者の場合は、権限の範囲を分掌する場合と、分掌しないで、単に各自がその権限を行使出来るとする場合があります。 なお、任意後見人を予備的につけることも可能です。
任意後見人が仕事を始めるのは:
任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた場合に備えて、あらかじめ締結されるものですから、任意後見人の仕事は、本人がそういう状態になってから、始まることになります。 具体的には、任意後見人になることを引き受けた人(任意後見受任者)や親族等が、本人の同意を得て、家庭裁判所に対し、本人の判断能力が衰え、任意後見事務を開始する必要が生じたので、任意後見監督人を選任して欲しい旨の申立をします。 そして、家庭裁判所が任意後見人を監督すべき任意後見監督人を選任しますと、そのときから、任意後見受任者は任意後見人として、契約に定められた仕事を開始することになります。
任意後見契約の登記:
任意後見契約は、公証人の嘱託により、法務省で登記されることになります。 従って、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することが出来ますし、取引の相手方も、任意後見人から、その「登記事項証明書」を見せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことが出来るというわけです。
任意後見契約の解除:
任意後見契約を解除するには、解除する時期によりその要件が異なります。
1.任意後見監督人が選任される前
公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できます。 合意解除の場は、
合意解除書に認証を受ければすぐに解除の効力が発生し、当事者の一方からの解
除の場合は、解除の意思表示のなされた書面に認証を受け、これを相手方に送付
して、その旨を通知することが必要です。
2.任意後見監督人が選任された後
正当な理由(後見人が重病、高齢など)があるときに限り、かつ、家庭裁判所の
許可を受けて、解除することが出来ます。 なお、任意後見人について任務に適
しない事由が認めらるときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請
求により、任意後見人を解任することが出来ます。 また、任意後見人の不法行
為があった場合には、損害賠償請求をすることも出来ます。
一般的には、任意後見人を第三者に依頼した場合には、報酬を支払のが普通ですが、身内の者が引き受けた場合は無報酬が多いと言えます。 任意後見監督人には、家庭裁判所の判断により、報酬が支払われます。 その報酬額は、家庭裁判所が事案に応じて決定しますが、本人の財産額、当該監督事務の内容、任意後見人の報酬額その他諸事情を総合して、無理のない額が決定されているようです。
決定された報酬は、本人の財産から支出されます。 任意後見人の仕事はかなり大変な仕事です。 従って、任意後見契約が無報酬の場合は、任意後見人の労苦に報いるために、将来自分に万一のことがあったときには、任意後見人になった者に、より多くの財産を相続させたり(任意後見人が相続人の一人である場合)、財産を遺贈したり(任意後見人が相続人でない場合)する等の配慮をしておくことも良いと思われます。
任意後見人Q&A
①Q 任意後見契約が、将来に備える「老い支度」であるとか、「老後の安心設計」
であるとか聞きますが、どういうことですか?
①A 我が国は、社会の高齢化が急速に進行中であり、現在65歳以上の人が3000万人
おり、その総人口に占める割合は25%を占め、実に4人に1人が高齢者という
時代を迎えています。 そして、今世紀半ばには、実に3人に1人が65歳以
上となります。
認知症になると、次第に物事を判断する能力が衰えてきます。 85歳以上は
25%が認知症に罹患しています。 また,病院等で医師の診断・治療を受けよ
うとしても、病院等と医療契約を締結することも出来ないし、入院のための契
約締結も出来ないし、施設に入ってお世話を受けようとしても、施設に入るた
めの施設入所契約自体が出来なくなってしまいます。 介護保険を利用したく
ても,その手続をすることも大変の上、何より介護を受けるための介護サービ
ス提供契約を締結することが出来ない、ということになってしまいます。 す
なわち、年をとってくると、例え、いくらお金を持っていても、自分のお金で
あって自分で使えない、自分で自分に関することが処理出来ないという事態が
起き得るのです。 そのようなことを防ぐため、自分の判断能力が低下した場
合に備えて、あらかじめ、自分がもしそういう状態になったときに自、分に代
わって、財産を管理してもらったり、必要な契約締結等を代理でしてもらうこ
と等を、自分の信頼できる人に頼んでおけば、全てその人(「任意後見人」と
言います。)にして貰えるわけで、あなたは安心して老後を迎えることが出来
るというわけです。
②Q 任意後見契約を結ぶ方法は?
②A 任意後見契約を締結するには、任意後見契約に関する法律により、公正証書で
しなければならないことになっています。 その理由は,ご本人の意思をしっ
かりと確認しなければいけないし、また、契約の内容が法律に従ったきちんと
したものになるようにしないといけないので、公証人が作成する公正証書によ
らなければならないと定められているのです。
③Q 任意後見人の仕事の中身はどんなものですか?
③A 任意後見人の仕事は、一つは、本人の「財産の管理」です。 自宅等の不動産
や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払い等々です 。もう一
つが、「介護や生活面の手配」です。 要介護認定の申請等に関する諸手続、
介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、
医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金した
りする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結す
る行為等々です。 以上のように、任意後見人の仕事は、本人の財産をきちん
と管理してあげるとともに、介護や生活面のバックアップをしてあげることで
す。 なお、任意後見人の職務は、自分でおむつを替えたり、掃除をしたりと
いう事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をしてあげる
ことです。
④Q 契約内容は自由に決められますか?
④A 任意後見人の基本的な仕事は、上記に述べたとおりですが、任意後見契約は、
契約ですから、法律の趣旨に反しない限り、具体的には、当事者双方の合意に
より、自由にその内容を決めることが出来ます。
⑤Q 任意後見人は身内の者もなれますか?
⑤A 成人であれば、誰でも、あなたの信頼できる人を、任意後見人にすることがで
きます。 身内の者でも、友人でも全然問題ありません。 ただし、法律がふ
さわしくないと定めている事由のある者(破産者、本人に対して訴訟を提起し
たことがある者、不正な行為、著しい不行跡のある者その他任意後見人の任務
に適しない事由のある人、例えば金銭にルーズな人等)はダメです。 もとよ
り行政書士、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門家に依頼しても良いし、
また,行政書士会のコスモス成年後見サポートセンター、NPOなど法人に依
頼することも出来ます。
⑥Q 任意後見人の人数の制限はありますか?
⑥A 任意後見人は、複数でも構いません。 この場合には、各自が任意後見人とし
ての権限を行使できるとするか、共同してのみその権限を行使できるとする
か、どちらかに決めなければいけません。 そして、前者の場合には、権限の
範囲を分掌する場合と、分掌しないで、単に各自がその権限を行使できるとす
る場合があります。 なお、任意後見人を予備的につけることも、可能です。
たとえば、Aさんに任意後見人を頼むけど、もしAさんが死亡・事故・高齢等
の理由でその職務をとれなくなったときは、予備的にBさんにお願いしておき
たいということも出来ます(ただし、任意後見契約締結後、その登記をする際
に、予備的受任者として登記することが認められていないので、契約の形式と
しては、受任者としてAさんとBさんの両名を選任しておき、Aさんに上記の
ような事情が発生したときに、Bさんの職務が開始されるように定めることに
なります。)
⑦Q 任意後見人の仕事はいつからスタートしますか?
⑦A 任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた場合に備えて、あらかじめ結ばれる
ものですから、任意後見人の仕事は、本人がそういう状態になってから、始ま
ることになります。 具体的には、任意後見人になることを引き受けた人(任
意後見受任者)や親族等が、本人の同意を得て、家庭裁判所に対し、本人の判
断能力が衰え、任意後見事務を開始する必要が生じたので、「任意後見監督
人」を選任して欲しい旨の申立てをします。 そして、家庭裁判所が、任意後
見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任しますと、そのときから、任意後
見受任者は、「任意後見人」として、契約に定められた仕事を開始することに
なります。
⑧Q 任意後見人に、大切な預貯金等を使い込まれる心配はないのでしょうか?
⑧A もともと、任意後見人は、あなた自身が、最も信頼できる人として、自分で選
んだ人です(契約に際しては、真に信頼できる人かどうかをよく吟味して選ぶ
ことがとても大切です。)。 しかも、前記のように、任意後見人の仕事は、
家庭裁判所によって、任意後見監督人が選任された後に初めて開始されます。
したがって、家庭裁判所によって選任された任意後見監督人が、任意後見人の
仕事について、それが適正になされているか否かをチェックしてくれます。
また、任意後見監督人からの報告を通じて、家庭裁判所も、任意後見人の仕事
を間接的にチェックする仕組みになっています。
さらに、任意後見人に、著しい不行跡、その他任務に適しない事由が認めら
れたときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により、任意
後見人を解任することができることになっています。 以上によれば、万一の
ことをご心配されて、契約を躊躇するよりも、ご自分がしっかりしているうち
に、ご自分の判断で、積極的に老後に備える準備をされた方が賢明といえるの
ではないかと思います。
⑨Q(通常の委任契約のことについて)判断能力が低下したわけではないが、年を取
って足腰が不自由になったり、身体能力が衰えて、何事をするにも不自由を感
じるようになった場合に備えて、あらかじめ、誰かに財産管理等の事務をお願
いしておきたいのですが、これも任意後見契約でまかなえますか?
⑨A 任意後見契約は、判断能力が低下した場合に備えた契約なので、ご質問のよう
な場合には、任意後見契約によることはできず、通常の「委任契約」を締結す
ることにより、対処することになります。 そして、実際には、このような通
常の委任契約を、任意後見契約とともに併せて締結する場合が多いのです。
何故かと言いますと、任意後見契約は、判断能力が衰えた場合に備えるものな
ので、判断能力が低下しない限り、その効力を発動することがありませんが、
人間は、年を取ると、判断能力はしっかりしていても、身体的能力の衰えは、
どうしようもなく、だんだん何事にも不自由を感じるようになってくることが
あるからです。 極端な話、寝たきりになってしまえば、いくら自分の預貯金
があっても、お金をおろすことも出来ません。 そのような事態に対処する
ためには、判断能力が衰えた場合にのみ発動される任意後見契約だけでは不十
分です。 通常の委任契約と、任意後見契約の両方を締結しておけば、どちら
の事態にも対処できるので安心です。 まさに「ボケが出ても、寝たきりにな
っても大丈夫!」ということになります。 そして、判断能力が衰えた場合に
は、通常の委任契約に基づく事務処理から、任意後見契約に基づく事務処理へ
移行することになります。
⑩Q 本人の判断能力が衰えてからでも、任意後見契約を締結できますか?
⑩A その衰えの程度が軽く、まだ契約締結の能力があると判断されれば、任意後見
契約を締結することが出来ます。 本人に、契約締結の能力があるかどうか
は、医師の診断書、関係者の供述等を参考にして、公証人が慎重に判断して決
めます。 しかし、任意後見契約は、本来的には、ご本人が元気で、しっかり
しているうちに、自ら、将来の事態に備えて、自分が一番信頼出来る人を自分
の目で選び、その人とあらかじめ契約をして準備しておくというもので、既に
認知症の症状が出てきた場合には、むしろ、法定後見の制度を利用した方が無
難でしょう(家庭裁判所に、法定後見の申立てをして、鑑定及び調査の結果認
められた判断能力の不十分さの程度に応じて、後見、保佐、補助等の開始の審
判を受け、それに対応して家庭裁判所で選任された後見人、保佐、,補助人が
その事務を処理することになります。)。
⑫Q 任意後見契約は、登記されるそうですが、どうしてですか?
⑫A 任意後見契約は、公証人の嘱託により、法務局で登記されることになります。
したがって、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を
記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することが
できますし、取引の相手方も、任意後見人から、その「登記事項証明書」を見
せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことができるというわけ
です(すなわち、登記事項証明書は、法務局が発行する信用性の高い委任状と
いう役割を果たすことになり、これにより、任意後見人は、本人のために、そ
の事務処理を円滑に行うことができます。)。
⑬Q 任意後見契約を結ぶには、どんな書類が必要ですか?
⑬A 下記の書類を揃えて下さい(発行後3か月以内のものに限ります。)。
1 本人について・・・・印鑑登録証明書、戸籍謄本、住民票
2 任意後見受任者について・・印鑑登録証明書、住民票
⑭Q 費用はいくらかかりますか?
⑭A 下記の費用が掛かります。
1.公証役場の手数料1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で
定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあって
は、3枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。
2.法務局に納める印紙代 2,600円
3. |
法務局への登記嘱託料 |
1,400円 |
4. | 書留郵便料 | 約540円 |
5. | 正本謄本の作成手数料 | 1枚250円×枚数 |
なお,任意後見契約と併せて、通常の委任契約をも締結する場合には、その委
任契約について、さらに上記1が必要になり、委任契約が有償のときは、1の
額が増額される場合があります。 また、受任者が複数になると(共同しての
み権限を行使できる場合は別として)、受任者の数だけ契約の数が増えること
になり、その分だけ費用も増えることになります。
⑮Q 体力が弱って、公証役場に出向くこと出来きないときでも、任意後見契約を締
結することができますか?
⑮A その場合には、公証人が、自宅や病院に出張して公正証書を作成することがで
きます。 なお、この場合には、上記1の手数料が50%加算される(16,500円
になります。) ほか、日当と現場までの交通費が加算されます。
⑯Q 任意後見事務の処理に必要な費用は、誰が出すのですか?
⑯A 費用は、任意後見人が管理する本人の財産から出すことになります。 契約で
任意後見人の報酬の定めをした場合には、費用のほかに、報酬も本人の財産の
中から支出されることになります。 そして、これらの処理が適正になされて
いるか否かは、任意後見監督人が監督します。
⑰Q 後見人や任意後見監督人に、報酬は支払うのですか?
⑰A 任意後見人に報酬を支払うか否かは、本人と任意後見人になることを引き受け
た者との話し合いで決めることになります。 ごく一般的に言えば、任意後見
人を、第三者に依頼した場合には、報酬を支払うのが普通ですが、身内の者が
引き受けた場合には、無報酬の場合が多いといえましょう。 任意後見監督人
には、家庭裁判所の判断により、報酬が支払われます。 その報酬額は、家庭
裁判所が事案に応じて決定しますが、本人の財産の額、当該監督事務の内容、
任意後見人の報酬額その他の諸事情を総合して、無理のない額が決定されてい
るようです。 決定された報酬は、任意後見人が管理する本人の財産から支出
されます。
⑱Q 任意後見契約を、途中でやめることは出来ますか?
⑱A 任意後見契約を解除することは出来ますが、下記のとおり、解除する時期によ
り、その要件が異なります。
1 任意後見監督人が選任される前
公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できます。 合意解除の
場合には、合意解除書に認証を受ければすぐに解除の効力が発生し、当事
者の一方からの解除の場合は,解除の意思表示のなされた書面に認証を受
け,これを相手方に送付してその旨を通告することが必要です。
2 任意後見監督人が選任された後
任意後見監督人が選任された後は、正当な理由があるときに限り、かつ、
家庭裁判所の許可を受けて解除することが出来ます。 なお、前記のとお
り、任意後見人について任務に適しない事由が認められるときは、家庭裁
判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により、任意後見人を解任す
ることが出来ることになっています。
⑲Q 他に、何か参考になることはありますか?
⑲A 任意後見人の仕事は、かなり大変な仕事ではないかと思われます。 したがっ
て、任意後見契約が無報酬の場合には、任意後見人の労苦に報いるために、将
来自分に万一のことがあったときには、任意後見人になった者に、より多くの
財産を相続させたり(任意後見人が相続人の一人である場合)財産を遺贈した
り(任意後見人が相続人でない場合)するなどの配慮をしておくことも、考え
られてよいことではないかと思われます。
⑳Q 自分が死んだ後、障害を持つ子供のことが気がかりですが、それに備える方法
はないでしょうか?
⑳A まず、心配な子のために、然るべく遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言)をし
ておいてあげることが、最低限必要と思われます。 なお、心配な子の面倒を
見ることを条件に第三者に財産を遺贈する場合のことを、負担つき贈与契約と
言いますが、詳しくは「横浜のアオヤギ行政書士事務所」にお問合せ下さい。
次に、その子に契約締結能力がある場合には、子自らに委任契約及び任意後見
契約締結させておく(親が死んだり体力が衰えたりなどした時期に、受任者の
事務を開始するようにしておく。)ことが可能ですので、受任者に人を得るこ
とが出来れば、安心出来るのではないかと思います。 その子に契約締結能力
がない場合(知的障害の程度が重い場合等)には、同じく信頼できる人を見つ
けて、その人との間で、子が未成年であれば親が親権に基づいて、親が子を代
理して任意後見契約を締結しておくことが出来ると考えられます。 子が成年
の場合でも、親自ら後見人となる審判を受けた上、同様に任意後見契約を締結
しておくことが考えられますが、これを否定する考えもあり、事前に当行政書
士事務所にご相談下さい。 また、その人と親自身との間で、親が死んだり体
力が衰えたりした後の、その子の介護及び財産管理等について委任する契約を
しておくことも考えられる方法のひとつです。 いずれにしても、いかに信頼
出来る人を見つけるかということが非常に重要なので、信頼できる人が身近に
見つからない場合には、行政書士会のコスモス成年後見サポートセンター、各
種社会福祉法人、弁護士会、リーガルサポートセンター、家庭問題情報センタ
ー等の組織に相談するなどして、信頼できる受任者を今のうちに見つけておく
ことが出来れば良いと考えます 。
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